F2転換率を高めるには、顧客起点となるCRM施策でロイヤルティを向上させることが大切です。しかしながら商品起点となるシーズナル施策のみを重視し、初回購入顧客に季節ごとのカタログを送付することで満足してしまっている企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、F2転換率についての基礎知識とその重要性を解説したうえで、フュージョン株式会社が取り組んだ事例をもとに、F2転換率向上におけるCRM施策の考え方について詳しく解説します。
CRM施策を計画・実行する前に必要なステップであるCRM戦略の立て方については、下記の記事で解説しています。あわせてご一読ください。
F2転換率とは、初回購入顧客のどのくらいの割合が2回目の購入に至ったかを測る指標です。
F2のFは「Frequency」を略しており、購入頻度という意味です。数字はリピート回数を指しているため、3回目の購入であればF3、4回目の購入であればF4と表現します。
F2転換率はリピーターの獲得施策の成果や、商品・サービスに対する顧客満足度を測るために活用できるもので、CRM施策では重要な指標のひとつです。
F2転換率は、以下の計算式で求められます。
F2転換率(%)=2回目の購入者数÷初回購入者数×100 |
たとえば初回の購入者が5,000人、2回目購入者は1,500人だったとします。上記の計算式に当てはめると1,500÷5,000×100=30となり、F2転換率は30%と求められます。
仮に商品が初回10,000人に購入されたとすれば、2回目は3,000人の購入が期待できることがわかるでしょう。
F2転換率の平均は0〜50%程度と幅広く、業種や商品の特性によって大きく異なります。
食品や飲料水は日常生活で購入する頻度が高いため、F2転換率が高い傾向にありますが、衣料品は食品に比べるとF2転換率が低くなる傾向にあります。また、衣料品の中でも靴下やTシャツなどは、水着や浴衣・スキーウェアなどの季節商品に比べてF2転換率は高くなるでしょう。
そのため、自社商品・サービスのF2転換率が適切かどうかは、同業種や類似商品と比較することが大切です。
本章ではF2転換率がなぜ重要なのか、F2転換率を上昇させるとどのような効果が見込めるかを見ていきましょう。
マーケティングには「1:5の法則」という考え方があり、新規顧客の獲得は既存顧客に比べて5倍の集客コストが発生するとされています。
自社商品についてあまり知らない顧客に購入してもらうためには、商品のPR広告や無料サンプルの配布、体験サービス、新規購入割引など多くの施策が必要です。
一方で、すでに商品を一度購入している既存顧客は商品の内容を理解しているため、購入前の顧客に比べて集客コストを抑えられます。
F2転換率はコストを削減するだけではなく、利益率の向上にも直結します。リピーターは新規顧客よりも集客コストを抑えられるうえ、LTVも高くなるためです。
LTVとは「Life Time Value」の略称で顧客生涯価値ともいい、1人の顧客が初回購入から最終購入するまでの間に得られる利益のことを指します。
初回購入後に再購入をしなかった顧客のLTVは低いままですが、F2への転換ができればLTVは高まりやすくなります。さらに、CRM施策でロイヤルティを高められれば優良顧客に引き上がる可能性もあり、より利益率は向上するでしょう。
ほとんどのリピート施策では、F3以降の転換率はF2転換率よりも高くなる傾向があります。そのため、F2転換率を向上させることは、3回目・4回目と継続して購入してもらえる顧客の母数を増やすことに繋がります。
結果として優良顧客に引き上がる母数が増えることから、F2転換率が重要であることがわかるでしょう。
F2転換率を高めるには、商品起点ではなく顧客起点で施策を考え、初回購入後のアプローチでロイヤルティを高めることが大切です。
顧客とどのようなコミュニケーションをとるべきかお悩みの方は、以下の顧客コミュニケーション設計書をご活用ください。
ここからは実際にフュージョンが支援した事例とともに、F2転換率を向上させるCRM施策を紹介します。今回紹介する2件の事例は、DMを活用したものです。DMには、企業メッセージを伝えやすく記憶にも残りやすいといった良さがあります。
そのほか、タイミングを重視してF2転換を上げる施策としてはデジタルチャネルも有効です。今回はDMの事例のみを紹介しますが、状況に応じて施策を使い分けたり、組み合わせたりようにしましょう。
この事例は、ECサイトから初回購入した顧客に送るDMの見直しに取り組んだ事例です。対象の商品は初回購入者が多いものの、リピート率が鈍化している点が課題でした。今回は反応が鈍化している原因を送付タイミングと内容に絞り、改善を行いました。
具体的な改善点と成果は以下の通りです。
【成果】
F2転換率が200%伸長
DMを変更してから商品の問い合わせも増え、DM内で紹介した他の商品の併売率アップにも成功しました。さらに圧着ハガキよりも購買の波が緩やかとなったことから、DMの保管率も向上した事例です。
詳しくは、以下のページより事例をご覧ください。
続いての事例は、心に残る体験を初回購入者にしてもらいロイヤルティの向上を図った事例です。顧客とのつながりを大切にしている点を強調するため、DMの内容と頻度を見直しました。
【改善点】
【成果】
サンプルを初回購入時に同封するのではなく、あえてタイミングをずらし使い始めに送付します。購入後、別便にて届くことで特別感が増しブランドのロイヤルティが高まるのが狙いです。
実際に、初回購入者がSNSにて喜びの声を投稿してくれることもありました。反響が良いこともありF2転換率は4.6%上昇し、アップセルも成功した事例です。
事例の詳細は、以下のページよりご覧ください。
CRM改善を検討しているものの、どのように進めていけばよいか分からない方向けにCRM戦略の進め方の資料をご提供しています。ぜひご活用ください。
最後に、F2転換以外のCRM施策を紹介します。年間のマーケティング計画全体像を見てみましょう。
上記のように、年間施策の全体像を見ると、大きくシーズナル施策(商品起点)と顧客ステージ施策(顧客起点)の2つに分類されます。それぞれの特性を理解し、年間を通して計画的に施策を組み合わせることで、より高い成果を得られるでしょう。
さらに顧客ステージ施策に注目すると、F2引き上げの他に、優良顧客向け・休眠掘り起こし施策があることがわかります。これらの施策もロイヤルティ向上には欠かせない取り組みです。
本章では優良顧客向け・休眠掘り起こしそれぞれの施策について、事例をもとに紹介します。
ここでは優良顧客向けのCRM施策として、1年間の購入回数や購入金額で上位顧客にDMで特典を送付した事例を紹介します。
上位顧客のみにDMを送付し優良顧客と一般顧客を差別化することで、優良顧客の購入回数が増加し売上に貢献しました。この優良顧客向けのCRM施策は、10年間に渡り成果を出し続けました。
なお、継続して成果を上げるために、以下の項目を都度改善しています。
ターゲット | 今後優良顧客になる可能性のある顧客も含めていく |
クリエイティブ | 優良顧客であることのモチーフを毎年変更し、飽きさせない工夫 |
オファー | 特典を拡張 |
タイミング | 年1回の送付+シーズナル施策DMへの同梱で年4回へ |
LTVを高めるためには実施した施策の効果検証を行い、PDCAを継続的に回していくことが重要です。
詳しい事例の内容は、以下の記事をご覧ください。
休眠顧客の掘り起こしも、顧客ステージ施策としては有効です。
あるスーパーマーケットの事例では、最終購入日から1年経過している休眠顧客向けにDMとコールセンターからの電話で、保有ポイントと有効期限を通知しています。その結果、ポイント失効前に再来店する顧客が増えました。
【施策概要】
【成果】
DMを送付しなかった顧客と比較して、再来店率が19.4%増加
休眠顧客にポイントの有効期限が切れると損をすると感じさせるとともに、目隠しシールで個人情報を隠しプライバシーにも配慮しました。
ハガキを送付していない休眠顧客の再来店率は6.2%なのに対し、ハガキを送付した休眠顧客の再来店率は25.6%と高く、休眠顧客の掘り起こしに成功した事例です。
休眠顧客掘り起こしのCRM対策について詳しい内容を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
顧客起点のCRM施策ではF2転換率の引き上げや、休眠顧客の掘り起こし、優良顧客向けの施策など、顧客の状況に合わせた施策をタイミングよく実施していきましょう。顧客起点のCRM施策と商品起点のCRM施策を組み合わせることで、効果がより期待できます。
DMは、顧客満足度を上げるために最適なコミュニケーションメディアです。DMに課題がある方はフュージョンの「DMフルサービス」へ、CRM戦略を見直したい方は「CRM支援サービス」へ、ぜひご相談ください。