自社のプロモーション施策としてダイレクトメール(DM)の実施を選び、ゴールやクリエイティブ・コンセプトも決め、いざデザイン制作に着手したものの、「原稿作りやデザイン・テキストを校正していく上で指示が上手くいかない」「デザインやコピーが思ったようなDMにならず、施策の効果が出ない」ということはありませんか。
広告代理店やデザイン会社が手を動かしてくれたとしても、「どんなコピー、どんなストーリーで自社の商品やサービスを表現すると顧客に伝わりやすく、アクションを促せるのか?」は自分たちで最終判断せねばなりません。2種以上のクリエイティブの選択肢があるときは「どちらを選ぶとより効果が出るか?」とひとつを選ぶにも悩ましいところです。
そこでこのコラムでは、自社でのDM制作において、効果的なDMをスムーズに制作するために、クリエイティブ制作中のやりとりにおける基本的なポイントをご紹介します。
その前段階、ブリーフィングやコンセプト設計などについて知りたい方は下記のコラムをご参照ください。
常に覚えておきたいことのひとつに、「顧客はそこまでDMをしっかり読まない」ということがあります。
あなたは、毎日家の郵便受けに届いたDMやチラシ、フリーペーパーなどをどの程度しっかり読むでしょうか?
1枚1枚、丁寧に1字ずつきっちり読まれる方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの方が重要な書類ではない営利目的の郵便物は、数秒しか目を通さないか、開封せずに捨ててしまいます。
例えば、店舗に置いておく商品(またはサービス)の紹介パンフレットであれば、前提として既にその商品に興味を持った人が手に取るものであるため、商品の詳細や魅力について丁寧に正確に掲載することが必要とされます。しかし、DMはまだ興味を持つ前の段階の方に向けることも多いことから、商品を長文でたくさん紹介すれば魅力が伝わるというものではなく、ターゲットが受け取るタイミング、環境、シチュエーションを想像して、開封したくなるような工夫をし、封入物は最適な文章量で知りたいことを簡潔に伝わるようにまとめることが必要となるのです。
顧客は、DMに同封するすべてのツールを読むとは限らず、また想定通りの順で読むとも限りません。
どのツールを見ても、顧客のメリットが伝わるもの、そして各ツールのストーリーとして不自然ではない程度にアクションも入れていくと、より効果が期待できます。
自社商品を説明するとき、自分自身が深く理解していることから、つい顧客の感覚や利便性を考慮しきれず、原稿作成や校正を進めると、どんどん情報量が増えてしまいアクション誘導までが回り道になることがあります。
そこまで商品に興味がなく忙しい顧客を想像して、それでもつい開封してしまうものかどうか、DMを斜め読みしても意図が伝わり、アクションしたくなるものであるか。これらを毎回振り返り、そのバランスをよく検討していくことが効果の出やすいDMに繋がります。
マーケティング活動を進める中で、企業のメッセージや商品・サービスの価値を伝えるために、ストーリー性、企業の姿勢、そしてクリエイティブ・コンセプトの一貫性は非常に重要です。
制作開始前のブリーフィングで、DMの目的やターゲット、顧客への価値提供などの基本条件をしっかりと整理することはもちろん、その目的を常に意識しながら制作を進めることが求められます。なぜなら、制作過程では多くのステークホルダーからのフィードバックや意見が入るため、その中で当初の目的を見失うことがあるからです。
フュージョンではDM企画設計用のブリーフィングシートをご用意しています。下記のリンクからダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
全てのフィードバックが必ずしも有効であるわけではありません。フィードバックを受け取る際には、それが目的やコンセプトに合致しているかを確認し、必要なものだけを選別して取り入れることが重要です。
最終的には顧客に届けるものであるため、顧客の視点を常に持ち続けることが必要です。制作物が顧客にどのように受け取られるかを考慮しながら制作を進めることで、より効果的なDMを作成することができます。
「社長に最終チェックで見せたら、全て作り直しに…」という事態を避けるためにも、DM制作の際には、クリエイティブ・コンセプトを理解している担当者が最後までディレクションを行い、目的に沿ったものができているかをしっかりと判断することが大切です。
また、挨拶状などで企業の考えや姿勢を伝える際には、その内容が企業のブランドや価値観と一致しているかを確認することで、顧客の信頼を得ることができます。
「目的を設定し、顧客を考慮してコピーやビジュアルを整えたDM」というだけでも施策としては成立しますが、せっかくDMを制作するなら、さらに1個要素をプラスすることで顧客の感情によりアプローチすることができます。
例えば、単純な商品・サービス紹介に終始するのではなく、なにかモチーフやアイデアをプラスすることでよりコンセプト性を高めたDMにするという手法があります。
freee株式会社様による、自社サービスのクラウドERP『freee』の認知と導入推進を目的としたDMでは、繁忙期を終えた経理部を慰労するという戦略でチョコを同梱するという施策でした。ただ、単純に挨拶状に「お疲れ様でした」と文章で記載するのではなく、箱にチョコを入れて送り、またそのチョコが経理部の馴染みの「テンキー」を模したものであるといった一捻りあるコンセプトこそが受け取った方に強く印象を残します。
このようなインパクトがあるDMは、電話口で説明しやすく相手の記憶に残りやすいことから、DM送付後のアウトバウンドコールの際にも非常に効果的です。
また、「チョコ」というモチーフがあるので、箱・挨拶状・パンフレットなどのツールのすべてでチョコをイメージしたようなデザイン、テンキーの「◀」がfreee株式会社様のツバメになっているといった小さなユーモアも相手を楽しませ、この企業やサービスに前向きな気持ちになる一因となり得るでしょう。
このDM施策は、フュージョンがご支援し、2023年全日本DM大賞にてグランプリを受賞しました。
DMを制作するうえで、戦略設計、コンセプト整理は行えていても、校正の途中で「なんだか違う…」と修正を加えていくうちに本来の目的を見失ってしまった、ということはありがちですが、当初のクリエイティブ・コンセプトを踏まえてしっかりハンドリングすることで効果的な施策に繋がります。
制作に関わる方たちと認識を揃えながら進行しましょう。
フュージョン株式会社では、CRM戦略に基づいた最適なダイレクトメール施策の提案や丁寧なデザインディレクションはもちろん、モチーフをプラスするような自由な発想のアイデア提案も得意としています。
興味のある方は、ぜひ一度以下よりお問合せください。
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顧客とのコミュニケーションを意識したDMの企画・設計については、下記の資料にて企画立案に必要な5つのステップを詳細に解説しているので、ご参考にしてください。
【資料ダウンロード】効果の出るDM企画立案に必要な5Step