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    CRM施策の効果を高めるチャネルの選び方・組み合わせ方

    2024-09-02

    CRM施策の効果を高めるチャネルの選び方・組み合わせ方CRM施策におけるチャネル選定は、CRM施策の効果を最大化するために重要な要素の一つです。タイミングやターゲットに合わせて適切なチャネルを選定することで、購買行動に繋がりやすくなったり、顧客のエンゲージメントが高まったりします。

    本記事では、CRM施策におけるチャネル選びの方法やチャネルの特性について紹介するとともに、チャネルミックスの成功事例や具体例を詳しく紹介します。

    CRM施策におけるチャネル選びの重要性

    チャネルとは一般的には広告やWebサイトなど、集客における顧客の流入経路のことを言いますが、CRMにおけるチャネルは、企業顧客とコミュニケーションを取るための手段のことを指します。
    CRMで顧客のエンゲージメントを高めるには、各施策のタイミングやターゲット顧客に合わせて適切なチャネルを選定することが大切です。
    特に重要視されるパーソナライゼーションには、タイミングと顧客のセグメントだけではなく、どのチャネルでコミュニケーションを取るかで効果が大きく変わります。

    適切なチャネルを選定するためにはまず、CRM施策のもととなる顧客コミュニケーション設計する必要があります。以下の記事では、顧客コミュニケーション設計について詳しく解説しています。

    【参考コラム】
    顧客コミュニケーション設計とは?重要性や設計方法・事例を紹介

     

    チャネル選定の事前準備

    CRM施策において適切なチャネルを選定するためには、チャネルを選定する前にキャンペーンの目標を設定し、ターゲットオーディエンスを特定する必要があります。本章ではチャネルを選定する前の事前準備について解説します。

    キャンペーンの目標設定

    まずはキャンペーンごとに目標を設定しましょう。
    キャンペーンとは、CRM施策全体から細分化した中期的な施策のことです。たとえば、F2転換施策や、離反防止施策などがそれにあたります。

    キャンペーンの目標を設定する際には、CRM施策全体のKGIを達成することを念頭に入れたうえで、各施策のKPIを決定することが大切です。各施策のKPIが達成されることで、CRM施策で目指すべきゴールが達成できるような目標設定を意識しましょう。

    ターゲットオーディエンスの特定

    ターゲットオーディエンスの特定も事前準備に必要な要素です。
    ターゲットオーディエンスとは、自社サービスに適した顧客属性グループのことを指します。顧客セグメントとは異なり、潜在顧客も含まれる場合が多いのが特徴です。
    顧客セグメントは特定の属性で分類されたグループを指す一方で、ターゲットオーディエンスは、主にマーケティング活動でアプローチする対応の顧客層を意味します。

    ターゲットオーディエンスは、既存顧客に基づいて年齢や性別、職業などの人口統計学的な属性と、趣味や消費行動、価値観などの心理的属性を洗い出します。そのうえで、既存顧客のデータを活用し、類似した属性を持つ潜在顧客層を見つけ出すことでターゲットオーディエンスを特定します。これにより、自社サービスに興味を持ちやすい層にアプローチできる可能性が高まります

     

    チャネルの特性と具体例

    キャンペーンで実施する各施策のチャネルを適切に選定するためには、利用するチャネルの特性を理解し、どのようなシーンでの活用が適しているかを把握する必要があります。
    本章では、CRM施策で利用しやすい5つのチャネルについて、特性と活用例を紹介します。

    メールマーケティング

    メールマーケティングはEメールを使用したマーケティング手法です。11人に個別で送付でき、顧客行動に合わせてリアルタイムでコンテンツが提供できるため、パーソナライゼーションされた施策の実施が可能です。
    また、送付数に応じてコストは変動しますが、広告施策やダイレクトメールなどの手法に比べると比較的運用コストは抑えられるため、ROIが高いのも特徴の一つです。

    メールマーケティングはメルマガ・セグメントメール・ステップメール・シナリオメールの4種類に分類でき、活用シーンも多岐に渡ります。

    メールマーケティングの種類

    具体例としては、顧客との長期的な関係性を維持するためには定期的に一斉配信するメルマガ(メールマガジン)が活用できますし、シナリオメールであれば、顧客行動をトリガーとして最適なメールを送付しコンバージョンを高めることも可能です。
    ただしメールマーケティングは、顧客がメールを受け取りたくないと感じた際に顧客側でオプトアウト(配信停止)が行えるため、不快感を与えないよう注意が必要です。

    SNS

    SNSを活用したマーケティング手法は、各SNSのアルゴリズムに応じて自社商品に興味を持ちやすいと推定される不特定多数のユーザーに、広く拡散される特徴があります。また、ユーザーとの距離が近く、コメントやダイレクトメッセージ(DM)でリアルタイムにコミュニケーションが取れる点もメリットです。

    SNSの代表的なツールとしては、InatagramTikTokX(旧Twitter)などがあり、それぞれで利用している年代層やユーザー特徴が異なるため、自社の商品にマッチしたツールを利用するようにしましょう。たとえば、Instagramは男性よりも女性ユーザーが多い傾向があるため、女性をターゲットにしたサービスや商品に向いています。

    デメリットとしては、どの程度自社のコンテンツが拡散されるかは、SNSのアルゴリズムに依存しているため、安定した効果が見込みにくい点が挙げられます。また、SNSは日々新しいコンテンツが発信されるためコンテンツの寿命が短く、継続して発信する運用体制が必要な点にも注意しましょう。

    ウェブサイト

    ウェブサイトは自社サービスについて詳しく紹介するために欠かせない手法です。これまで説明したメールマーケティングやSNSと異なり、ユーザーが主体的に検索したり、広告を経由して訪れるケースが多い点が特徴です。

    コンテンツの自由度が高いため、動画やアニメーションを利用して使用イメージを紹介したり、ブログやコラム記事などを掲載して自社サービスの詳細情報をしっかりと提供できたりします。さらに他のチャネルからの流入先としてランディングページを作成するのも活用方法の一つです。

    デメリットとしては、ウェブサイトへアクセスしてもらうためには、SEOを強化して検索上位に表示されるように工夫するなどの対策が必要な点です。広告やSNS、メールマーケティングなどを活用して訪問者を誘導する方法もありますが、ある程度の誘導コストがかかる点には注意しましょう。

    ダイレクトメール

    ダイレクトメールは、企業から個人宛に送付するハガキや封書などの郵送物を指します。
    顧客の手元に直接コンテンツが届くため、顧客の目に留まりやすい点が特徴です。また、形状や紙の質感を工夫したり、ノベルティや試供品を同封したりと、顧客に興味を持ってもらえる工夫をしやすいメリットもあります。

    切り札DM
    活用シーンとしては、季節ごとのカタログを既存顧客に送付して次の購入を促したり、誕生月に特別なキャンペーンをお知らせするハガキを送付するなど、主に既存顧客に対してのプロモーションに利用できます。

    顧客の住所を取得できていないと利用できない手法のため、見込み顧客と既存顧客には活用できますが、個人情報を取得できていない潜在顧客に対しては活用できない点には注意が必要です。また、デジタル施策に比べてコストが高くなる傾向にあるため、送付対象者を限定するなど工夫するとよいでしょう。

    【参考事例】
    ベネフィットを再解釈した「切り札DM」で新規入会者数増加を促進(三井住友カード株式会社様)


    Web
    広告

    Web広告はGoogleFacebookSNSなどのメディアに広告を掲載するものです。多くのユーザーの中から自社で特定したターゲットオーディエンスに限定して広告を配信できる点が特徴です。

    Web広告には予約型広告と運用型広告の大きく2種類に分けられますが、現在主流となっている運用型広告は、自社で設定したコンバージョンポイントを達成した広告分のみが課金される仕組みのため、費用対効果を上げやすいメリットがあります。

    活用シーンとしては、ブランドの認知を広げるためにimpvimp)課金で自社サービスの露出を増やしたり、購入を促すために自社サイトやECサイトを訪問したユーザーに限定し、クリック課金で広告を配信するなどが挙げられます。

    運用型広告は、出稿先のメディアのアルゴリズムによって広告表示が最適化されるため、効果を最大化するためにはできるだけ多くのクリエイティブを用意することが求められます。
    また、どのメディアでも広告審査があるため、表示されるクリエイティブだけではなく、遷移先となるランディングページも広告基準に違反していないかを確認することが大切です。

     

    チャネル選定の基準

    チャネルを選定する際には、事前準備で特定したターゲットオーディエンスの行動に合わせることが大切です。

    たとえば、ターゲットオーディエンスが男性のビジネスマンか、20代女性かで、利用すべきSNSチャネルも異なるでしょう。また、リピーター顧客であれば初回購入者よりも手厚く、ダイレクトメールに特典を添えてコミュニケーションを取った方が、優良顧客やロイヤルカスタマーにステップアップする可能性があり、LTVが高まります。

    チャネルの選定はターゲットオーディエンスを理解したうえで、最初は仮説に頼って選定する場面も出てきますが、精度を高めていくためにも施策の実施後には費用対効果を必ず分析し、チャネルを再選定することが重要です。

     

    チャネルミックス戦略の具体例

    先ほど紹介したそれぞれのチャネルは単体でも効果を発揮しますが、異なるチャネルを組み合わせることで、立体的な施策展開ができ、より効果が高まるケースもあります。

    ここでは、チャネルミックス戦略の一例を用いて具体的な戦略について紹介します。

    DMとメールの組み合わせ

    まずはDMとメールマーケティング組み合わせたチャネルミックス戦略を見てみましょう。

    【キャンペーン例:新商品ローンチキャンペーン】

    • ステップ1
      ティーザーDM送付:新製品のティーザーを含むDMを顧客に送付する。

    • ステップ2
      詳細情報メール送付:DMを受け取った顧客がメール登録をすると、新商品の詳細情報がメールで届く。
       
    • ステップ3
      フォローアップメール:発売日に合わせてリマインダーとしてフォローアップメールを送信する。

    • ステップ4
      購入後のフォローアップDM:感謝の意を込めたフォローアップDMを送付する。


    上記のように既存顧客に対して新商品を訴求する際に、メールとDMをうまく組み合わせることで、メールマーケティングの弱みである開封率をDMで補填し、DMの弱みであるタイムラグ(リアルタイムに送れない)点をメールで補填している例です。
    このようにチャネル同士を組み合わせることで、顧客がプロモーションを見逃すリスクが低減されるとともに、段階的に自然なアプローチができるメリットがあります。

    DMとSNSの組み合わせ

    DMとSNSを組み合わせたロイヤルティプログラムのキャンペーン例を紹介します。

    【キャンペーン例:会員登録キャンペーン】

    • ステップ1
      会員登録キャンペーンのDM送付:会員登録キャンペーンの詳細と参加方法を説明したDMを送付する。

    • ステップ2
      SNSでの参加促進:SNSで会員登録キャンペーンの特典や参加方法を告知する。

    • ステップ3
      SNSフォロワー向けの追加特典:フォロワー限定の特典やキャンペーンを発信する。

    • ステップ4
      フォローアップDM:会員登録キャンペーンに参加した顧客にフォローアップDMを送付する。

    会員登録のキャンペーンをSNSDMで促進することで、これまで会員プログラムの存在自体を認知していなかった顧客にも広くプログラムの内容を告知できるメリットがあります。
    さらに、SNSでの追加特典を用意することで、フォロワーのエンゲージメントが高まります。エンゲージメントが高い投稿コンテンツは、SNS上での拡散力も上がる傾向にあるため、新規フォロワーの獲得にもつながるでしょう。

    上記はチャネルミックスの一例ですが、他にも組み合わせることで相乗効果が高まる手法が多くあります。メディアの特性や選び方については以下の記事でも詳しく解説しています。

    【参考コラム】
    顧客コミュニケーション設計に必要なメディア特性の理解とメディア選択の基本

     

    効果検証と評価

    CRM施策はそれぞれの施策ごとに効果検証を行い、PDCAを回すことで精度をあげることが大切です。効果検証では、事前準備で決定したKPIに基づいて分析することはもちろんのこと、以下の視点でも振り返りを行うことで、施策の改善点が見えやすくなります。

    • 施策の成果を数字で計測したか
    • 費用対効果(ROI)の観点で成果を判断しているか
    • この検証は、対象の施策による効果であると言えるか
    • 効果検証を行うタイミングは適切か
    • 次回に向けて、この結果を再現することができるか(発生条件と結果を整理できているか)


    また、適切な効果検証を行うためには、施策を設計する段階で仮説や目標を明確にしておくことが何よりも大切です。フュージョン株式会社では、マーケティング効果検証の精度を上げるためのセルフチェックシートを用意していますので、ぜひご活用ください。

    マーケティング効果検証_精度UPのためのセルフチェックシート

     

    CRM施策におけるチャネル選定・組み合わせの成功事例

    株式会社ポーラ様が販売しているシワ改善薬用化粧品「リンクルショットは初回購入品としての人気は高いものの、初回購入から一定の期間を超えると圧着DMのレスポンス率が下がり、リピート購入に繋がらないことが課題でした。
    また、購入者へのヒアリングを行ったことで、正しい使用方法で使えていないお客さまが多いことや、当社独自のシワ改善有効成分に対しての理解が進んでいないことも課題の一つでした。

    株式会社ポーラ様では、これらの課題を解決するとともに、2回目購入時点でのクロスセルの改善も見据え圧着DMを一新することを考え、フュージョン株式会社にお声かけいただきました。

    F2転換率の改善に成功!直感刺激DM

    改善後のDMは、手書き風な親しみあるデザインが特徴的です。また、封筒にトレーシングペーパーを使用することで、商品の写真が透けて見えるよう工夫を施しており「透き通る肌」を目指すという商品の特徴を視覚・体感的に伝えられるよう意識しました。

    さらに、「リンクルショット」「ホワイトショット」を並べて紹介するリーフレットを同封し、それぞれの使用方法を解説する動画のQRコードも記載しました。
    動画には使い方だけではなく、長時間使用し続ける大切さや日々のケアのコツをご紹介したり、研究員のコメントを示したりと内容を充実させており、リーフレットだけでは理解が難しい部分をWeb上の動画で補填する役割を担っています。

    DMを改善してから、顧客からのお電話でのお問い合わせが増加しました。DMとWebサイトを組み合わせて商品の詳細を手厚く説明したことで、商品に対しての理解度が深まり、お客様の能動的なアクションを引き出せることになった点は大きな成果でしょう。

    また結果として、DMを改善した前後で大目標であるF2転換率2に増加しました。また、併売率も約3倍に伸長し、クロスセルの改善についても大きな手応えを感じていただいています。

    【参考事例】
    タイミング・クリエイティブ改善がカギ!F2転換率の改善に成功!直感刺激DM

     

    まとめ

    CRM施策のチャネル選定は、キャンペーンの目標とターゲットオーディエンスを明確にしたうえで、それぞれのタイミングやターゲットの特徴と合うものを選ぶことが重要です。
    また、チャネルを選定したあとは効果検証を行い、選定したチャネルが適切なものだったかをきちんと分析・改善することも忘れてはいけません。

    精度を高めていくためには、まず顧客コミュニケーション設計を自社の顧客分析や商品特性に基づいて行うことが大切です。
    フュージョン株式会社ではCRM戦略を策定するうえで活用できる顧客コミュニケーション設計書のテンプレートを用意しています。実務で活用できるCRM戦略を設計したいと考えている方はダウンロードフォームからご利用ください。

    フュージョン株式会社は「マーケティングに、体温を。」掲げ、データにできない「想い」や「現場感」に寄り添いながら、クライアント企業のマーケティングパートナーとして伴走支援をしています。

    マーケティング課題が顕在化していなくても、「なんとなく課題感を感じている」「何をしていいかわからない」「社内に相談する人がいない」といったお悩みをお持ちの方も、ぜひお気軽にご相談ください。

     

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