バースデーDMは、その名のとおり顧客の誕生日のお祝いに送付するDMで、パーソナライズDM(受け手のプロフィールや嗜好に合わせたコンテンツ最適化の手法)の一種です。
この記事を読んでいる方の中には、企業から誕生日のお祝いと割引クーポンなどのオファーがついたDMを受け取ったことがある人もいるのではないでしょうか。
今回は、企業がバースデーDM施策を実施する際に意識すべきポイントを解説します。
バースデーDMは、顧客データを扱う企業であれば規模や業種問わず取り組めるプロモーション施策のひとつです。企業がバースデーDMを送る理由としては、以下の2つが挙げられます。
①企業都合ではなく、お客様のタイミングに合わせてDMを送ることができるから
②誕生日は、数ある記念日の中で、誰でも持っていて企業側が取得しやすい情報だから
顧客は、「なぜ今、自分にこの案内が届いたのか?」を理解したとき、初めてDMの内容に興味を持ちます。
そして、興味を持ってくれた結果として、購買行動などのアクションを起こします。
そのため、「自分に関係ない」と思われてしまえば、見てもらうこともなくゴミ箱行きのDMになってしまいます。
例えば、企業のキャンペーン等でDMを送ることは、お客様にとって自分ごととして捉えにくいタイミングであるケースが多くなりがちです。
一方、バースデーDMであれば、届いた理由が自分の誕生日に関連しているため、自分ごととして捉えてもらうハードルが低くなります。
誕生日に限らず他の記念日なども同様で、「企業都合」ではなく「お客様都合」のタイミングである、ということがポイントです。もちろんeメール等のデジタルデバイスで送付することもできますが、顧客が自分ごと化しやすいタイミングに、物理的に手元に残る紙のDMを送ることは効果的です。
また、誕生日情報の収集という点では、会員登録などのシーンで誕生日を求められることは少なくありません。そのため入力することに抵抗感も少なく、企業としても取得しやすい情報と考えられます。
きちんと許諾をいただき、お客様の誕生日情報を取得していれば、企業はバースデーDMを送ることができます。
ここで注意したいのは、誕生日は必ず毎年やって来るため、バースデーDMは一度始めると辞めどきが難しいことです。
また、会員全員にバースデーDMを送付する場合、会員増に伴ってコスト負担も増えるので、誰に送付するのかは慎重な判断が必要です。
送付者(ターゲット)を絞り込む場合は、明確な理由でターゲットを絞り、不公平感が出ないような配慮も忘れないようにしましょう。
例として以下のようなパターンが考えられます。
例1:優良顧客のみに送付
期待効果:日頃の感謝を伝え、継続利用を促す
▼優良顧客向けのバースデーDMを整理した当社資料から抜粋
どのような顧客を優良顧客とするかは、企業それぞれ条件を設定して決めることが重要です。「優良顧客がどの程度自社に存在するのか」という点については、自社が持つ購買データの分析を通して把握することが可能です。
例1:子ども宛てに送付
背景:少子高齢化で子どもにかける支出は増加傾向。
期待効果:DMは保護者の目にも触れるので、子どもだけでなく家族での来店・購買が期待できる。
例2:シニアに送付
期待効果:個人に宛てた「お便り」が喜ばれる世代。ブランドイメージ向上にも寄与。
全会員の誕生日情報を持っているからといって、全員に送らなければならないわけではありません。
絞り込む方法は、売上アップを期待する営業的な側面とコストのバランスで、業種によってもさまざまです。
お客様は同じタイミングで複数のバースデーDMを受け取っている可能性が高く、その中で見るもの・見ないものを選別しています。
バースデーDMは売り込み要素が強いと顧客の気分を害して避けられてしまう可能性が高くなります。
企業としては、せっかくDMを送るのですから購買につなげたいと思うのは当然ですが、あくまでも「お祝いメッセージ」であることは忘れずに、デザイン・コピーを作りましょう。
ここでは3つのポイントをお話しします。
「自分ごと化」できるクリエイティブが重要です。
また、通常の販促DMと区別する意味でも、個別のメッセージを印字する、ターゲットごとにクリエイティブを変えるなど、「あなたに届けた」ということを伝えましょう。
優良顧客に送付する場合は、ポップアップ型にするなどロイヤリティが高まるような、上質な仕様にしましょう。
また、優良顧客の離反防止にもバースデーDMは有効という実績結果も出ています。
「自分のために手間ひまをかけてくれた」という気持ちが伝わります。
しかし、書き方が雑なDMを受け取り、残念な気持ちにさせてしまっては本末転倒です。
送り手がどのような気持ちで書いたかは、その筆跡から受け手に必ず伝わります。
書き方が雑な手書きは「私の存在を雑に思っている」ことを想起させ、かえって良くない印象を与えかねない、ということを意識しましょう。
そもそもDMのクオリティと効果を決める要素は、大きく分けて4つあります。
BtoC DMの成功を左右するポイントは以下の記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください。
バースデーDMの場合でも、上記の4つの要素を適切に決めたうえで、顧客に具体的なアクションを促すことができるようなストーリーを設計することが重要です。
これらの要素を踏まえて、バースデーDM制作時のカンタンなチェックリストを作成しました。
これからバースデーDMに取り組もうと考えている方や、実施しているバースデーDMの振り返りを行いたいと考えている方は、ぜひご活用ください。
ここからはフュージョン株式会社で実施した事例から、効果の出るバースデーDMの内容を紹介します。実際のDMに活用した例文も紹介しますので、ぜひDM制作の参考にしてみてください。
イオンモール様では、親子で来店してもらうことを目的に小さなお子様に向けてバースデーDMを送付しました。
このDMでは、「親子そろってハッピーな気持ちになってもらいたい!」という思いを重視し、開くとケーキが飛び出す動きのある楽しいポップなクリエイティブを採用しています。
また、お祝いの気持ちを前面に出すため、サービスの特典などを盛り込みつつも、販売促進の表現を抑えるよう心掛けました。
実際の文面は以下の通りです。
・封筒
おたんじょう日おめでとう!!イオンモール〇〇(店舗名)にあそびにきてくれたお友だちの中からとくべつなきみにおたんじょう日のプレゼントを用意したよ!あけてみてね!
・挨拶状
おたんじょう日のきみだけにおくるとくべつなプレゼントを用意してまっているよ!
いっしょに入っているお手紙をもってイオンモール〇〇(店舗名)にあそびにきてね!
なお、ターゲットの詳細や効果については以下で詳しく解説しています。
ターゲットはいなげや様を常に利用されている優良顧客に限定し、施策の費用対効果を最大化するため、対象者の中でも特に上位の顧客には封書で、そうでない顧客にはハガキを使い、特典にも差をつけて施策を設計しています。
今回は上位顧客向けの封書DMの文面を紹介します。
・封筒
いなげやより大切なお客様へ
お誕生日おめでとうございます
お誕生月にお使いいただけるクーポン在中
・挨拶状
お誕生日おめでとうございます。
新しい一年が幸せでありますようにいなげや従業員一同心を込めてお祈りいたします。
(追伸)ささやかではございますがお誕生日プレゼントとして いなげや、ina21、blooming bloomy、ESBI、ESBI+各店でご利用いただけるクーポン券をお届けいたします。
なお、施策の詳細や効果については以下で詳しく解説しています。
バースデーDMは既存顧客との関係性向上や購買促進に有効な施策のひとつです。誕生日というわかりやすいメッセージを用いるため、比較的実施ハードルが低い点も特徴です。
フュージョン株式会社では、企画の設計やターゲット選定からDMの制作、効果検証までをワンストップで実施する「DMフルサービス」をご用意しています。
バースデーDMを実施してみたいけれども、ノウハウがなくて困っている場合にはぜひお気軽にご相談ください。