「自社の顧客にはリピーターが多いが、競合に流れて顧客が離脱してしまう…」こんな悩みを抱えていませんか?
企業が持続的に成長するためには、単なるリピーターではなく、企業やブランドに強い信頼を寄せる「ロイヤルカスタマー」を育成・維持することが不可欠です。一方で、継続的に購入している顧客の中には、「価格が安い」「他を探すのが面倒」などの理由で購買している層も存在し、競争の激しい市場では容易に離脱する可能性があります。
フュージョン株式会社では、「ロイヤルカスタマー」とは、売上貢献が高いことに加えて「企業やブランドに信頼を寄せてくれている顧客」と定義しています。一方で、「優良顧客」は「商品やサービスを継続的に購入し売上貢献が高い顧客」と定義しています。
単なる「優良顧客」を「ロイヤルカスタマー」へと転換し、長期的な関係を築くためにはどうすればいいのでしょうか?それは、CRM戦略とロイヤルティプログラムを活用した、顧客ロイヤルティの向上です。
本記事では、ロイヤルカスタマーの定義・重要性、優良顧客との違い、維持・育成の方法を詳しく解説します。さらに、LTV(顧客生涯価値)やCRM戦略の観点から、顧客ロイヤルティを高める3つの要素についても紹介します。
顧客との関係性を強化し、持続的な売上向上につなげるためのヒントとして本記事をご活用ください。
【目次】
ロイヤルカスタマーとは?重視すべき理由
ロイヤルカスタマーと優良顧客の違い
ロイヤルカスタマーの育成・維持のためのCRM戦略設計
ロイヤルカスタマーとは?重視すべき理由
「ロイヤルカスタマー」とは、売上貢献が高いことに加えて「企業やブランドに信頼を寄せてくれている顧客」です。ロイヤルカスタマーは企業への信頼(=顧客ロイヤルティ)があるからこそ、簡単には離反しない傾向があります。信頼を維持することは一朝一夕でできることではなく、CRM戦略に基づいたロイヤルティプログラム設計・実施など、企業側の継続的なアプローチとさまざまな工夫が必要です。
企業の持続的な成長において、ロイヤルカスタマーの存在は極めて重要です。その重要性は以下の3つの本質的な要因から説明できます。
①LTV(Life Time Value)の向上
「上位2割の顧客が全売上の8割を生み出す」というパレートの法則を考えると、ロイヤルカスタマーは非常に大切で価値のある存在です。ロイヤルカスタマーは、ブランドやサービスへの深い信頼から、短期的な変動に動じず長期的に取引を続ける傾向があります。価格よりも価値を重視する傾向が強く、適切な価値提供があれば、より高額な商品やサービスの購入にも前向きです。このような継続的な取引は、LTVの向上をもたらすだけでなく、企業の売上の安定性も高める要因となります。
フュージョン株式会社では、既存顧客との関係性を可視化した指標であるLTVの簡易計算シートを公開しています。自社のロイヤルカスタマーのLTVを大まかに把握したいときにお使いください。
②積極的な情報発信者としての役割
ロイヤルカスタマーは高いロイヤルティから、企業やブランド、製品に対する肯定的な情報を自発的に共有してくれることが多いです。SNSでの製品レビューや使用体験の発信など、さまざまな形で企業の魅力を伝えてくれます。このような顧客からの直接的な声は、企業の一方的な宣伝よりも信頼性.が高く、受け手にとっても説得力があります。さらに、企業にとっては追加のコストがかからないため、効果的かつ経済的にプロモーションを行うことができます。
③新しいお客様の紹介源としての役割
ロイヤルカスタマーは、自分自身が企業に貢献してくれるだけでなく、新規顧客開拓にも一役買ってくれる可能性があります。
紹介するという行為は、紹介する本人の信頼性や信用性をもとに行われるため、ロイヤルカスタマーからの紹介は特に価値が高いと言えます。また、紹介で獲得した顧客は、すでに信頼関係が構築されているため、長期的な取引につながりやすいという特徴があります。ロイヤルカスタマーは企業やブランドに信頼を寄せてくれているからこそ、家族や友人の紹介が期待でき、新しい売上をもたらす可能性があるでしょう。
このようにロイヤルカスタマーは、企業にとって非常に価値のある存在です。
ロイヤルカスタマーは高いLTVを持ち、企業やブランドに対する好意的な情報発信を行い、さらには新規の顧客紹介という形で直接的な売上への貢献も期待できます。これらの点を理解したうえで、ロイヤルカスタマーとの関係を深化させることで、より売上アップが期待できるでしょう。
ロイヤルカスタマーと優良顧客の違い
前述したとおり、ロイヤルカスタマーと単なる優良顧客の違いを分けるポイントとしては、企業やブランドに対する貢献や信頼の有無があります。違いを分ける貢献や信頼を指す「顧客ロイヤルティ」には、どのようなものが挙げられるのでしょうか。
顧客ロイヤルティとは、Loyalty(忠誠心)を意味する英語に由来しており、以下の3つの側面があります。
- 心理ロイヤルティ
企業やブランド・商品に対する好意的な感情を指します。これは単なる満足度を超えた、ブランドへの深い愛着や信頼感として表れます。心理ロイヤルティの高い顧客は、競合他社の魅力的な提案があっても簡単には離反しない傾向があります。
- 行動ロイヤルティ
企業に対する具体的な行動として表れるロイヤルティです。定期的な店舗への来店や会員登録、イベントへの参加、SNSでの企業情報の共有など、積極的な関与行動として確認できます。
- 経済ロイヤルティ
企業に対する直接的な貢献を示すロイヤルティです。具体的には購入金額、購入頻度、継続取引年数などの数値として表れます。これは企業の収益に直結する重要な指標となります。
下記のピラミッドは、企業と顧客の関係性を4つの段階で表す顧客満足型マーケティング展開フレームGBGKです。下から上に向かって計4つのフェーズがあり、縦軸は「顧客ロイヤルティ」の高さ、横軸は「顧客数」を表しています。
(参考資料:荒川圭基著「顧客満足型マーケティングーデータベース・マーケティングからCRM、FSPまで」PHP研究所、2003年)
新規顧客を獲得し、ロイヤルカスタマーへと育成するためには、単なる購買促進にとどまらず、顧客が企業やブランドに対して深い興味を持ち、長期的な信頼関係を築ける仕組みづくりが不可欠です。
そのためには、まず顧客のニーズや価値観を的確に理解し、それに応じた最適な商品・サービスを提供することが重要です。加えて、定期的なコミュニケーションを通じて、顧客との関係を深め、信頼を構築する取り組みが求められます。例えば、パーソナライズされた情報発信やアフターフォローを強化することで、顧客との接点を増やし、継続的なエンゲージメントを促すことができます。
市場環境の変化やロイヤルティプログラムの運用状況、顧客のニーズの変動など、多くの要因によってその基準は変わる可能性があります。そのため定期的な見直しを行い、常に最適なアプローチを模索することが、ロイヤルカスタマーとの長期的な関係を維持・強化する上で大切です。
ロイヤルティプログラムの見直し方法については、参考コラムをご覧ください。
ロイヤルカスタマーの育成・維持のためのCRM戦略設計
ロイヤルカスタマーを維持するには、単なるリピーター施策ではなく、ロイヤルティマーケティングの視点が不可欠です。企業との接点を通じて「あなたを大切にしている」というメッセージを継続的に伝え、心理的ロイヤルティを高めることが不可欠となります。
しかし、すべての顧客に同じアプローチをしても効果は限定的です。そこで、データを活用し、ロイヤルカスタマーの行動特性を把握した上で、適切なCRM施策を設計することが求められます。
ロイヤルカスタマーの理解とデータ活用
効果的な施策を実施するには、経済的ロイヤルティだけでなく、行動ロイヤルティと心理ロイヤルティの面からも、ロイヤルカスタマーどのような人なのか把握することから始めます。
具体的には、ロイヤルカスタマーがどのような人なのかを把握することから始めます。
ロイヤルカスタマーの行動ロイヤルティを把握する方法としては、顧客行動データを用いた顧客分析が挙げられます。デシル分析やRFM分析などの代表的な手法を用いて、定量的な情報によってロイヤルカスタマー独特の行動を洗い出しましょう。
加えて、心理ロイヤルティの把握も必要です。顧客へのアンケートやNPS調査を行い、ロイヤルカスタマーに近いペルソナの人物像を観察するなど、さまざまな方法を駆使することでロイヤルカスタマーの行動パターンを把握します。これらの情報から、ロイヤルカスタマーは企業からどのような情報を欲しいと考えているかを整理することが可能です。
ロイヤルカスタマーが欲しいと感じる企業からのメッセージを作成し、適切なタイミングで発信します。この繰り返しが、ロイヤルカスタマーの維持につながります。
ポイントプログラムによるユーザーへの情報発信は、この代表的な例です。
行動ロイヤルティと心理ロイヤルティの両方から集めたデータを基に、ロイヤルカスタマーが企業から何を求めているのかを整理し、戦略的なCRM施策を展開します。
ロイヤルカスタマーが欲しいと感じる企業からのメッセージを作成し、適切なタイミングで発信します。この繰り返しが、ロイヤルカスタマーの維持につながります。
フュージョン株式会社では、CRM戦略設計の進め方を解説したお役立ち資料を公開していますので、ぜひご活用ください。
ロイヤルティプログラムとCRMの連携
ロイヤルカスタマーを維持するためには、顧客との関係を強化し、「選び続けてもらう仕組み」を構築することが必要です。その一つの手法が 「ロイヤルティプログラム」 です。
ロイヤルティプログラムは、単なるポイント制度ではなく、顧客に「継続して利用したい」と思わせるための仕組みです。
- お得だからまた買いたい(金銭的価値)
- 便利だから継続して使いたい(利便的価値)
- このブランドを使っていることが誇らしい(心理的価値)
これら3つの付加価値を組み合わせることで、顧客との関係をより強固なものにしていきます。
実際に、ANAやスターバックス、NTTドコモなど、多くの企業がロイヤルティプログラムを活用し、顧客の継続利用やLTの向上を実現しています。
しかし、ただロイヤルティプログラムを導入すれば成功するわけではありません。
- どのような特典を用意すれば、顧客に「また使いたい」と思ってもらえるのか?
- 成功している企業は、どんな指標を使って顧客ロイヤルティを測定しているのか?
- 自社に合ったロイヤルティプログラムを設計するにはどうすればいいのか?
そのヒントが詰まった実際の事例や、効果的なロイヤルティプログラムの設計・運用ポイントをこちらの記事で詳しく解説しています。
ロイヤルカスタマーの定義や維持のご相談はフュージョンへ
ロイヤルカスタマーは、優良顧客の中に必ずいます。
まずは、自社のロイヤルカスタマーがどのような人なのかしっかり把握することが大切です。そして、ロイヤルカスタマーの人物像をベンチマークとして、優良顧客もしくはそれ以外の顧客層から同じような顧客を増やしていきましょう。
フュージョン株式会社では、30年以上にわたり、CRM領域における企業の課題解決を支援してきました。
- ロイヤルカスタマーが重要とわかっているが、何から手を付けて良いかわからない
- 自社のロイヤルカスタマーの定義を決めたい、見直したい
- ロイヤルカスタマーの定義はあるが、維持・育成の取り組みができていない
- 実施中のプロモーションの精度を高めたい
このようなお悩みがある方は、ぜひ一度お問い合わせください。
フュージョン株式会社では、顧客ロイヤルティの結果をもたらす「なぜ」を心理面から可視化できる「顧客ロイヤルティ可視化サービス」を提供しています。
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