売上を効率よく拡大するためには、自社の商品やサービスを購入してくれる顧客の特徴を理解し、それぞれの顧客に合わせて最適な施策を実施することが大切です。
顧客とは、製品やサービスを実際に購入しているかどうかにかかわらず、マーケティングの観点で自社として管理したい対象のことを指します。そして、顧客を特定の条件や基準をもとに分類することを顧客定義と言い、CRMには欠かせない考え方です。
そこで今回の記事では、CRMの観点で自社の顧客定義が必要な理由や、マーケティング戦略立案時の活用方法を解説します。
顧客定義とは、特定のルールで顧客をいくつかのグループに分類すること(=セグメント)、または分類するためのルールそのものを指します。
顧客は優良顧客、既存顧客、新規顧客、見込み顧客などいくつかのグループに分類でき、これらのグループに分類するためには、自社の顧客をよく理解し、行動や購買履歴をきちんと把握することが大切です。
どのような商品・サービスであっても、自社の顧客の属性や購買行動の傾向を的確に把握することは、顧客との中長期的な関係性を育み、LTV(Life Time Value)を最大化するために必要なステップです。
マーケティング戦略でよく耳にするCRMの考え方は、顧客定義と密接な関係にあります。
CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略で、顧客関係マネジメントのことで、顧客との関係性の維持や顧客満足の向上によって売上の拡大や利益の向上を目指すための顧客志向の経営戦略であり、それに伴う手段や手法を指しています。
CRMを効果的に実施するためには、顧客定義をおこなったうえで、特に優良顧客を増やすために必要なコミュニケーションがどのようなものかを理解する必要があります。
優良顧客を定義することは企業の売上を効率的に拡大するうえで重要なポイントです。
なぜなら一般的に優良顧客は、その他の顧客グループと比べて売上・利益への貢献が段違いに大きいからです。
「企業の売上の80%が20%の上位顧客で成り立つ」というパレートの法則は有名ですが、実際に当社で複数の企業データを分析してきた結果からも、優良顧客は売上の65~80%程度を占めているパターンが多くなっています。
顧客定義時の条件に売上金額を含めている場合は、優良顧客は売上上位顧客とも言えます。
そのため、「自社の優良顧客は現在何人で全体の何%存在し、どういった特徴・傾向を持つのか」という情報は最初に把握しておくことが大切です。
顧客を定義するための分類ルールは、データ分析の結果に基づき設定します。
いくつかの王道的なやり方がありますが、決められた方法はないため、データを俯瞰的に見ながら、バランスやわかりやすさを考えて顧客定義の条件を決めましょう。また、条件は必ずしも売上金額だけに限らず、商材の性質を考慮して適切な条件を検討するとよいでしょう。
顧客定義の王道的なやり方のひとつに、「RFM分析」があります。RFM分析は、複数の切り口からデータを俯瞰的に見て顧客を分類する代表的な手法です。
詳しい方法については、別コラム記事で紹介していますので、ご興味のある方は下記のリンクからご覧ください。
顧客を定義することで、今後のマーケティング施策設計をより戦略的に行うことができます。
顧客定義の結果は、顧客ステージ別でそれぞれ必要なアプローチや、具体的に何をする必要があるのかを考えるためのガイドラインとして役立ちます。
例えば、新規顧客がトライアル商品を購入してくれた直後に、どのようにして「リピート客」へ引き上げるかという課題があると仮定します。
この場合、いつも購入してくれている「固定客」とは異なるアプローチが必要でしょう。
一方で、購入頻度が高く自社の売上に最も貢献してくれている「上位客」を維持するためには、都度感謝を伝え、相応の特典を用意するなどの戦略を考えやすくなります。
このように、顧客定義はCRMキャンペーンを設計するうえで欠かせない要素です。
また、全てのキャンペーン施策は、マーケティング戦略全体における目的と立ち位置を明確にしなければ、効果的な施策になりません。ただでさえマーケティング活動は、さまざまな施策や顧客とのコミュニケーションが同時進行するため、優先順位がわからなくなってしまうことも考えられます。
顧客定義をしっかり決めておくことは、そのような状況での思考整理や振り返りにも役立ちます。
今回は顧客定義の考え方と重要性について解説しました。自社の顧客をきちんと把握し、分類することは、効率的なマーケティング施策の実施に繋がるなどさまざまな効果が見込めます。
フュージョン株式会社では、自社の顧客像を可視化する分析サービス「CRM ANALYZER」を提供しています。CRM戦略における課題を明確にしたい方や、優良顧客の定義方法についてお悩みのある方は、ぜひご活用ください。
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