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マーケティングのROI(ROMI)算出方法や活用時のヒント|フュージョン株式会社

作成者: Admin|Aug 21, 2023 4:51:27 AM

マーケターの方々は、自身に設定されたKey Performance Indicator(以下、KPI)を追い求めながら日々の業務を進めていることでしょう。
アクイジションを担当している場合、新規顧客の獲得数や新規顧客からの売上、メディアを活用した際の一人当たりの獲得コストなどがKPIとして挙げられます。一方、リテンションを担当している場合は、既存顧客の数、離脱した顧客の数、既存顧客の維持コストやLTVなどが考慮されるKPIが設定されているでしょう。
KPIは、まずボリュームの把握を重要視しており、KPIの単位としては人数、数量(個数)、金額などが用いられることが多いです。

さらに、マーケティング活動の効率を評価するKPIとして「Return on Marketing Investment」(以下、ROMI)が挙げられます。ROI(Return on Investment)は、事業への投資とその投資から得られる収益の収益率を測る金融指標であるのに対し、ROMIは特定、または全てのマーケティング活動への投資と、その投資から得られる収益の収益率を示すマーケティング指標です。簡単に言えば、マーケティングキャンペーンやプログラムなどの施策にかけたコストと、その施策から得られる売上を基に算出される収益率(%)を用いて、施策の効率や成果を評価する指標となります。

今回のコラムでは、このROMIに焦点を当て、その算出方法、活用シーン、そして問題点について解説していきます。

ROMIの算出方法

前項で、ROMIがマーケティング投資に対する収益率であることを説明しました。
ROMIの算出方法は、投資(マーケティングコスト)と収益(売上)を用いて、以下の計算式で求められます。

ROMI% = ((売上 - マーケティングコスト) ÷ マーケティングコスト) × 100

この収益率を通じて、投じたマーケティングコストが何倍の売上、すなわちリターンを生み出したのかが明確になります。これにより、キャンペーンの成功度や、特定の期間にわたるマーケティング活動の効率を容易に評価できます。
収益の定義は、会計上のものではなく、ROMIの算出時に使用するもので、企業によって異なることがあります。より詳細な収益率を求める場合、以下のような計算式が用いられることもあります。

ROMI% = ((売上 - 製品原価 - マーケティングコスト) ÷ マーケティングコスト) × 100

どの計算式を使用しても、最終的には収益率を示す%の数字となります。この数字が大きいほど、マーケティングの効率や効果が高いと評価され、設定した目標値を下回る場合は、効率や効果が低いと判断されます。

ROMIの実践的活用:短期・中長期の指標としての利用

ROMIは、どのようなケースで、どのように活用すべきでしょうか?
短期的な指標としてROMIを活用する場合、アクイジション活動の一環として行ったキャンペーンの効果を評価するためや、各キャンペーンのROMIを比較して成果を判断するため、さらには異なるメディアを使用したキャンペーンの効果をメディアごとのROMIで比較するためなどに使用することが考えられます。

一方で、中長期的な指標としてROMIを活用する場合、四半期や1年といった一定の期間にわたる全マーケティングコストと収益からROMIを算出し、前期や前年と比較してマーケティング活動の見直しを行うことも可能です。

ROMIは多岐にわたるケースでの活用が可能ですが、KPIの達成を唯一の目的とすると、予期せぬ問題が生じることがあります。
例えば、期間中に売上目標が達成できないと判断された場合、マーケティングコストを削減してROMIの達成を目指すケースが考えられます。しかし、このようなアプローチは、予定していた施策を十分に実施できなくなり、結果として売上が減少するリスクがあります。ROMIだけをKPIとして設定することは稀であるため、他のKPIも考慮しながら総合的な判断が求められます。

ROMIは、効率を評価するKPIとしての価値が高い一方で、問題点もあります。
次の項ではその問題点について詳しく説明します。

ROMI算出の問題点は、コストと売上の正確な紐づけ

ROMIの算出における主な問題点は、マーケティングコストの正確な把握の難しさです。これは、マーケティング活動に関連して、直接的および間接的な多様なコストが発生するためです。
例えば、特定のキャンペーンのROMIを算出する場面を考えてみましょう。クリエイティブの制作費やメディア費用など、直接的なコストは比較的明確に把握できます。しかし、間接的なコスト、例えば店舗やパートナーを通じてのキャンペーン実施に関連するトレーニング費用や、スタッフの給与、インバウンドコールセンターの対応コスト、また定常的に使用しているマーケティングプラットフォームのコストなどは、特定のキャンペーンに直接関連付けるのは難しい場合があります。
売上の特定に関しても同様の問題が生じます。特定のキャンペーンによる直接の売上は明確に紐づけられますが、自社WebサイトやEメール、SNSなどの多様なタッチポイントを通じての影響は一概に判断が難しくなっています。
アトリビューション分析を用いて貢献度を評価する方法もありますが、全ての売上を個別に評価するのは必ずしも適切ではありません。

ROMIはシンプルな計算式であるがゆえに、マーケティングコストの定義や売上の紐づけ方法、キャンペーンの貢献度などの基準を事前に明確にしておくことが重要です。そうしないと、ROMIの信頼性が低下するリスクがあります。例えば、定常的なマーケティングインフラのコストを除外する、特定のキャンペーンの影響を受けない売上をカウントしない、または同時期の複数のキャンペーンの影響を均等に割り当てるなどの基準を設定し、それを関係者に周知しておくことが不可欠です。

ROMIを正確に把握してマーケティングに活かしましょう

このコラムでは、マーケティング活動の評価において重要な指標であるROMIに焦点を当てて解説しました。
ROMIを用いてマーケティングの効果検証を行うことで、マーケティング活動の収益率を明確にすることが可能となり、その結果、マーケティング投資に対する説明責任を果たしやすくなります。
まずは自社のマーケティング活動の効果検証が適切に行えているか、セルフチェックから始めてみてはいかがでしょうか?

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【参考コラム】
効果検証の目的とは?効果測定との違いや、精度を上げる効果検証のやり方を解説

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