最近のコラムにて、2023年7月にフュージョン株式会社と株式会社ネオマーケティングが実施したtoCビジネスのマーケティング担当者を対象とした調査結果を基にして、BtoCマーケティングの全体的な傾向と動向について考察しました。
今回のコラムでは、特に増収見込み企業のtoCマーケティング活動に焦点を当て、その戦略やどのような手法を採用しているのかを詳細に掘り下げていきます。
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増収企業のプロフィール分析:売上とマーケティング予算の現状
本題に入る前に、この調査に回答した企業のプロフィールをご紹介します。ここでは、本コラムの理解に重要な2つのキーポイントを取り上げます。
まずは、前年比での売上増減に関するデータです。調査結果によると、43%の企業が増収を見込んでいます。これに「変わらない」と回答した企業を加えると、90%以上の企業が前年比で安定または成長していることが示されています。これは、一般消費者向けビジネスが回復傾向にあることを示唆しています。
次に、売上の増減見込みとマーケティング予算の規模との関連性に目を向けます。
調査では、マーケティング予算が1億円を超える企業が約30%、5000万円未満の予算を持つ企業が約30%を占めていました。
無回答が25%であったことを考慮すると、参加企業の売上規模や商材の多様性が影響していると考えられます。この調査からは、マーケティング予算の規模において二極化が見られることが明らかになりました。売上の増減見込みとマーケティング予算の規模、これら2点をコラムの前提として押さえておきましょう。
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増収企業のマーケティング予算と顧客分類の相関性
今回の調査では、前年度と比較したマーケティング予算の増減と売上の増減見込みとの関連性にも注目しました。興味深いことに、マーケティング予算を増加させた企業の約86%が増収を見込んでいます。
これは「売上増加が先か、マーケティング予算増加が先か」という典型的な問題を提起しますが、どちらにせよ、売上とマーケティング予算の間には明らかな相関関係が存在するようです。
さらに、顧客分類の実施と売上の増減見込みとの関連性にも目を向けました。調査では、顧客分類を「優良顧客、一般顧客、見込み客、離反顧客、休眠顧客」などに分けることとしています。この分類は、ロイヤルティプログラムだけでなく、企業内での顧客向け施策の計画にも広く用いられています。
結果として、増収を見込む企業の約54%が顧客分類を実施しているのに対し、売上が変わらないか減少すると見込む企業では、実施していない企業の割合が実施している企業を上回っています。限られたマーケティング予算の中で、顧客分類を通じて顧客を適切に管理し、最適な施策を実施することは、予算の効果を最大化し、マーケティング投資のROIを高め、結果として増収につながると考えられます。
売上増減見込みとマーケティング施策の関連性
売上の増減見込みと実施されているマーケティング施策の関連性にも注目しました。増収を見込む企業では、特にオンライン広告、インフルエンサー活用、SEOなど新規顧客獲得に力を入れていることが明らかになりました。
これらの企業は、新規獲得だけでなく、既存顧客向けのダイレクトメール、メールマーケティング、CRMなどの施策も同時に行っており、新規獲得と既存維持・育成のための施策を幅広く、かつバランス良く実施しています。一方、売上が変わらない、もしくは減少すると見込む企業では、新規顧客獲得のための施策が増収企業の約半分程度であり、主に既存顧客維持の施策に重点を置いていることがわかります。これは、ビジネス成長の鍵が新規顧客獲得と既存顧客維持の適切な施策のバランスにあることを数字で示しています。
最後に実施している施策内容についてです。
増収見込み企業が取り組んでいる施策には、マーケティング予算の豊富さが反映されているようです。増収見込み企業では、一般的なロイヤルティプログラムに加え、消費者の心理的価値に影響を与える施策、例えばファンミーティングや共創イベント、セミナーなどを提供しています。これらの施策は、顧客の企業への信頼を高め、商品への愛着を育て、継続的な購入につなげていると考えられます。
対照的に、売上が変わらないか減少すると見込む企業では、「特別価格」、「クーポン発行」、「ポイントバックキャンペーン」、「優先販売」など、金銭的価値を中心とした施策が上位に挙がっています。これらの施策は顧客にとってのメリットが明確ですが、顧客の離反も起こりやすいとされています。さまざまな施策を通じて複数の価値を提供することで、顧客との関係を継続し、特に心理的価値の提供は自社の売上伸長につながる重要なポイントです。そして、どの顧客にどのような価値を提供するかを決定するためには、顧客分類が欠かせません。
増収企業の取組みを知ることが自社の成長につながる
今回のコラムでは、フュージョン株式会社と株式会社ネオマーケティングで共同実施した調査・分析の中で増収見込みの企業の特徴や取組を考察してみました。
増収企業の戦略や実施している施策を知り、その上で自社ができる取り組みを検討し、来年度以降のマーケティング計画を考える予算化する事が次年度のスタートダッシュにつながることになります。詳細は下記リリースでも公開していますので、ぜひご覧ください。
全国の20歳以上の男女300人に聞いた「BtoCマーケティング活動に関する調査」
フュージョン株式会社では、30年以上さまざまな業界、業種のCRMやロイヤルティプログラムの戦略立案から戦術・施策などの企画支援、さらには実際の運用までワンストップでご支援しています。
今回の調査でもポイントに挙がった顧客分類向けデータ分析や、そこから導き出された課題解決のためのCRM戦略策定、顧客コミュニケーション設計、これらのプランに基づいたクリエィティブ企画制作、MAを含むマーケティング・オペレーションの運用サービス等、包括的なご支援が可能です。ご興味のある方は、サービスページをご覧ください。