ダイレクトメール(以下、DM)で成果を出すためには、顧客の基本的情報を知ったうえで、メッセージを正しく伝え、顧客が行動しやすいタイミングに特典などをつけたDMを送る必要があります。
本記事では、DMの成功パターンにおける4つのポイントと成功事例について、詳しく解説します。
ターゲットの設定は、DMの効果を左右する大きな要素です。ターゲットを設定する際には、ハウスリスト(自社が保有している顧客データ)を分析し、適切に設定しましょう。
ターゲットの代表的な分類には以下のようなものがあります。
また、顧客にDMを送る際、顧客の年齢・性別・購買履歴だけではなく、顧客の趣味や趣向、企業か個人か、などの属性も考慮しましょう。またターゲット選定には、デシル分析やRFM分析などさまざまな分析手法があるため、適切な方法を選ぶことも大切です。
オファーとは、顧客がDMを受け取った際に「商品やサービスに付ける特典や価値」を指します。オファーに有効な具体的内容は、主に次の5つです。
上記5つの中からDMを送るターゲットや商品の特徴に合わせて組み合わせることが大切です。
タイミングは、顧客がDMを受け取った際に、その内容に興味を持ち、行動を起こしやすいタイミングを選ぶことが大切です。
具体的には以下のような例が挙げられます。
また、DMを発送するタイミングはターゲットやオファーに合わせることも大切です。例えば、化粧品などの再購入を促すDMを送る場合は、商品を使い終わるタイミングに合わせてDMを送付するとよいでしょう。
クリエイティブでは、DMで伝えたいメッセージが正しく伝わるように作ることが大切です。まずは、DMの基本となる以下の4つのパーツとそれぞれの役割を取り入れることから始めましょう。
基本パーツ | 内容 |
封筒 | 中身を見てもらうために、開封を促すような仕掛けをする |
あいさつ状 | DM全体の趣旨を伝え、最終的に行動を促進する |
ブローシャー | 商品・サービスのメリットを含め、臨場感ある説得・ストーリーとなるようにしながら、行動を後押しする情報を盛り込む |
申込書 申込サイト |
すぐの申込を促すために、記入・入力がしやすい工夫をする |
BtoBビジネスは、企業間においての取引のため、購買までに複数の関与があります。BtoCは、企業が一般消費者に提供する取引です。BtoCとBtoBではビジネスモデルが違うため、DMの活用方法にも次のような違いが生まれます。
<DMの比較>
項目 | BtoB | BtoC |
1回あたりの取引金額 | 大きい | 小さい |
取引期間 | 長い | 短い |
発送ロット | 少ない | 多い |
制作にかけられる費用 | 多い | 少ない |
宛先 | 役職・部門・担当宛など、曖昧な宛先(スラグタイトル)が可能 | 個人 |
不着率 (DMが届かなかった割合) |
低い 担当者の異動後も追跡可能 |
高い 追跡は転居・転送サービスのみ |
オファー (商品やサービスに付ける特典や価値) |
問題解決直結型 |
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実際のDM事例を基に成功ポイントをひとつずつ解説します。
顧客エンゲージメントの高い顧客は、1人あたりの購入単価率とリピート率も高い傾向があります。商品やサービスに愛着を感じてもらえているため、率直な感想だけではなく、新たなアイデアを与えてもらえることもあるでしょう。ここでは、実際に顧客エンゲージメントを向上させた具体例として、全日本DM大賞受賞作品である株式会社DINOS CORPORATION様の事例を紹介します。
超優良顧客(ロイヤルカスタマー)向けに、ストーリー性が高く、お金で変えない付加価値のあるノベルティを通して、今まで以上にディノスファンとなってもらえるようなDM施策を実施しました。
結果として、ディノスの会員ステージ最上位クラスである「ダイヤモンド」からランクダウンしていたお客様の8%が「ダイヤモンド」にランクを戻したのです。
本事例は下記の記事にて詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
バースデーDMは「自分の誕生日」という明確な理由で届くため、強いセールス感を感じにくく、自分のこととして受けとってもらいやすくなります。デジタルデバイスではなく、実際にモノとして届き、手元に残る紙のDMは、印象が残りやすく効果的です。
ここでは、イオンモール様の成功事例から、バースデーDMについて紹介します。
親子でまた来店してもらうことを目的として「親子そろってハッピーな気持ちになってもらいたい!」という想いを重視し、施策を実施しました。そのため、開くと同時にケーキが飛び出す、動きのあるポップで楽しいDMにしています。
また、セールス感を抑えてお祝いの気持ちを前面に出すため、サービスや特典などを目立たせるようにしました。
本事例は下記の記事で詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
DMを活用して休眠顧客(休眠ユーザー)を掘り起こすことも可能です。
具体例として、株式会社いなげや様の事例をご紹介します。
1都3県でスーパーマーケットを営む株式会社いなげや様は、(最終購入日から)有効期限1年のポイントカード制を取り入れていますが、1年以上購入履歴がないと離反会員になります。そのため、保有ポイント失効1ヵ月前にDMでポイント数と期限をお知らせし、その後、コールセンターから電話によるお知らせをしました。
DM送付の結果、ポイント失効前に25.6%が来店し、DMなしよりも再来店率が増加しました。
本事例は下記の記事にて詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
マーケティングの最終的なゴールは、戦略に基づいて施策を設計し、その実施、効果検証、改善を繰り返して、売上アップや収益最大化を実現することです。そのためには、施策の効果は1回の実施結果で見るだけでなく、長期的な取り組みとしてその精度を高めていくことが重要です。
ここでは、マーケティング施策の改善を繰り返し、特に成果を上げた優良顧客向けDMの事例をご紹介します。
そこで、5月にパスポートを送付した後、9月と翌年5月に実施しているDMに、特典を思い出してもらえるようなご案内も加え、特典の印象とワクワク感を継続的に訴求しました。さらに、誕生日月のDMで誕生日特典を思い出してもらい、誕生日をルタオのケーキでお祝いしてもらえるよう促しました。
結果、注文件数は対前年比で132%上昇、課題としていた客単価は前年比234%と過去最高を記録しました。ここに至るまでに実施したマーケティング施策改善については、下記の記事をご覧ください。
現代では、メールやLINE、SNSによって、リアルタイムで連絡がとれます。そのため「紙」によるメッセージのやりとりをすることは減少しましたが、反対に特別感をもたらすアイテムにもなっています。
「紙」であれば、手触りや香りなど五感に訴える演出ができ、形として残るため何度も目にしてもらえる可能性があります。また、自分の名前宛に送られてくることで、自分のものとして受け取りやすくなるでしょう。
そんな「紙」によるDMの魅力を存分に活かし、2020年全日本DM大賞金賞グランプリを獲得した、東京個別指導学院様の事例をご紹介します。
その結果、兄弟紹介での入塾が増加したのです。DMをきっかけに、家族で受験を含めた将来のことについて、話し合う機会が生まれた可能性があるとも考えられます。
「紙」によるDMによって、コミュニケーションのきっかけをつくり、行動を促す可能性は大いにあるでしょう。東京個別指導学院様のDMの具体的な取り組み方については、下記の記事をご覧ください。
ダイレクトマーケティングにおいて重要な要素のターゲット・性別・年齢といったデモグラフィックな情報だけでは対象をとらえきれず、適切なコミュニケーションが取れない場合も多くなっています。
興味・関心・好みといった心理的属性に注目して大きな成果をあげた事例をご紹介します。
実際に大学に通っている学生には、アニメ・漫画・ゲームなどのポップカルチャーを好む割合が高い傾向があることを把握し、似た心理的属性の人にアプローチする戦略をとったのです。
結果、オープンキャンパス来場者は前年比117%と、過去最多を記録しました。
東京電機大学様のDMについての詳細は、下記記事をご覧ください。
BtoC DMに成功している企業は「ターゲット(Who)」「オファー(What)」「タイミング(When)」「クリエイティブ(How)」の4つのポイントをしっかりと押さえています。さらに、さまざまな角度からの顧客分析もしっかり行うことで、DMによる成果を確実にあげているのです。
今回、複数の成功事例をご紹介しましたが、企業にあわせた課題の解決だけではなく、人の想いを大切にしながら成功に導いたフュージョン株式会社のDM事例集をご用意しています。
ぜひ、下記のページよりダウンロードしていただき、ご活用ください。