ブローシャーは見込み客に商品の良さを最大限理解してもらうと同時に、興味を持ってもらうためのツールです。しかし日本ではブローシャーはあまり浸透しておらず、ブローシャーとパンフレットの違いが分からないという方もいるでしょう。
そこで今回はブローシャーとパンフレットの違いと、ブローシャーを作る際のポイントを19個紹介します。この記事を読めば、つい開きたくなるブローシャーが作成できますので、ぜひ参考にしてください。
ブローシャーとは、商品やサービスの概要・宣伝などを簡単にまとめた小冊子のことを指します。
紙1枚のものもあれば、ページ数の少ないパンフレットのようなものもあり、一般的なページ数は8ページ以下です。
企業の商品紹介などによく利用され、質の良い紙を使用しているためダイレクトメールの中に一緒に入れることもあります。内容はさまざまですが、商品の概要や写真・Q&A・お客様の声などが記載されているブローシャーが一般的です。
ブローシャーはダイレクトメールにおいて、視覚的に情報を伝えられる重要なツールといえます。「この広告は自分にとって必要なものなのか」を判断する材料となるため、マーケティング施策として活用すれば売上アップなどの効果が期待できるでしょう。
ここで「ブローシャーとパンフレットは同じものか」と、疑問が沸いた方もいるのではないでしょうか。実際、海外ではパンフレットのことをブローシャーと読んでおり、明確な区分はないとも言われています。
では明確な区分がないとはいえ何が違うのか、ブローシャーとパンフレットの違いを比較してみましょう。
ブローシャー | パンフレット | |
用途 | 商業用 | 商業用・非商業用 |
使用例 | 商品紹介 | イベント告知・商品紹介 |
紙の材質 | 光沢紙 | 通常の紙 |
枚数 | 1枚~8枚以下が一般的 | 表紙を除き5~48ページ以下 |
フォーマット | 三つ折り・四つ折り・冊子型 | 二つ折り・冊子型 |
上記に大まかな違いを紹介しましたが、あくまでも厳密な違いはありません。ただし、ブローシャーのページ数はパンフレットより少ないので、簡易的な情報を紹介するものとイメージしておくとよいでしょう。
ポイントをしっかり押さえれば、ブローシャーを手に取った見込み客の興味や関心を引き出し、商品の購入や利用を促せるでしょう。
当社のダイレクトメール施策支援事例でもブローシャ―を用いた例がありますので、ご興味のある方は資料ダウンロードのうえご覧ください。
ブローシャーを開いて読んでもらうには、役立つ情報が伝わらなければなりません。最初に目に入る表紙に、かならずベネフィットを記載しましょう。
ベネフィットとは、購入者・利用者が商品・サービスを利用した結果得られる満足感や幸福感のことです。購入者や利用者が商品を利用すると、どのように満足できるのか理由を簡潔に載せます。決して、事業者目線の売り文句にならないよう注意が必要です。
「3倍もお得」「他社製品より5倍速い」といった、具体的な数字を含む見出しを使用すると信頼感と説得力が増します。
データや具体例だと視覚的に認識してもらうために、算用数字を使用します。英語表記の場合には「three」と綴るのではなく「3」と書きます。同様に、日本語表記の場合にも漢数字ではなく算用数字を使用しましょう。
写真の下には、キャプションを付けましょう。
広告において、キャプションは見出しの次によく読まれる項目です。
ブローシャーでも同じことが言えます。しかし、見てわかる写真の説明をしても意味がありません。写真の情報をより端的に説明しつつ、具体的な内容を記したキャプションを付けましょう。
写真は人物写真を使うと、より効果的です。
人の心理として、物の写真よりも人の写真に目を引かれます。
また人は、自分と同じ属性の人物に惹きつけられる傾向があります。例えば、女性であれば女性の写真に、男性なら男性の写真に引き付けられるということです。さらに、複数の研究において「幸せそうに見える写真」「笑顔の写真」を好む傾向が判明しています。
特に読んでもらいたいコピーや情報の近くに、同じ属性の写真や幸せそうに見える人物写真を置いて視線を誘導するのも有効です。
写真の内容は、受け取り手に合った写真を使用すると効果的です。
ダイレクトメールやブローシャーを手にしたとき、人は無意識に「これは自分のためのものだろうか」と判断します。
例えば、ターゲットと同じ属性の人が商品を使っているシーンや、商品の利用によってターゲット層が「こうありたい」と思っている姿になれたことを写真で表現します。結果としてターゲットが見たときに「これはあなたのための商品ですよ」という強いメッセージが伝わり、レスポンス率の向上につながるのです。
広告の構成要素は言葉が大部分を占めています。
だからこそ、印象的なビジュアルが力を発揮します。
一例を紹介すると所得補償保険の広告において、今まさにサケを捕まえようとするクマの写真が使われていました。そして見出しにはこう書かれていたのです。
「あなたは自分をこのクマだと思っているかもしれません。
でも、あなたがサケだとしたら――
所得補償保険のこと、お話ししませんか?」
非常に印象的なビジュアルで、文章を読んだ瞬間にクマの気持ちからサケの気持ちに変わりませんでしたか?印象に残るビジュアルは購入者や利用者の心を掴みます。
Q&Aは、受け取り手の疑問を先に代弁してくれる有効な手段ですので活用しましょう。
非常に良くできたダイレクトメールでも、受け取り手に疑問を残したままになってしまうことがあります。
Q&A形式は、受け手の疑問に先回りし異論を解消できるよい手段です。また事業者にとっても、Q&Aを考えることで見込み客の気持ちを想像する機会を得られるのも良い点といえます。
グラフを使えば、伝えたい情報の正しさや正当性を分かりやすく示せます。
例えば、米国で発行部数トップの新聞である『USA Today』はグラフや図表を多用し、文字ばかりの高級紙との差別化に成功しました。
グラフを使用するだけで、正当性を示せるだけでなく視覚的にも理解しやすくなります。
Q&Aの最後の質問をコール・トゥ・アクションにつなげると、受け取り手の次の行動を促しやすくなります。コール・トゥ・アクション(CTA)とは、情報の受け手を行動させるための仕掛けのことです。
Q&AのQを、コール・トゥ・アクションとして使用できます。以下の例文で具体的に確認しましょう。
「Q.この商品のメリットはよく分かりました。次にどうしたらいいですか?」
それに対するAで、申し込み方法やフリーダイヤルの番号など、行動するための手段を書き出します。Q&Aを読んで疑問が解消されていれば、興味が沸き次のアクションに繋がりやすくなるのです。
ブローシャーを手に取ったターゲットは必ずしも、しっかり目を通してくれるわけではありません。
消費者はかつてないほどに忙しい日々を過ごしています。忙しければブローシャーも、パッと見ただけで読むか読まないか判断されてしまうのです。中を開かなくても、重要な情報である商品・サービスのベネフィットとオファーを理解してもらうために、内容が一目で分かるようにしましょう。そうすれば、反応率の向上にもつながります。
企業自身の推薦コメントではなく、実際に商品・サービスを使ったお客様のコメントを使うと信頼性が格段に向上します。特に見込み客がすでに企業や商品の名前を知っている場合、「お客様の声」は非常に有効です。
直接寄せられた「お客様の声」以外に、肯定的な商品レビューなども利用できます。レビューサイトやブログ、他社メディアに掲載されたレビューコメントをブローシャーに掲載する際には転用可能か確認の上、必要に応じて使用許諾を取りましょう。
「お客様の声」を使用する際、不安や疑問も含めたリアルな本音を使うと、より一層見込み客の心を掴みます。
例えば、お客様の声に以下の内容が記載されていたら、どちらを信頼しますか?
「使う前から、この商品は良いと思っていました。使い心地は最高でもう手放せません」
「使う前は、効果があるのか心配でした。でもイメージしていた以上に使い心地が良かったので、もっと前から購入しておくべきでした」
おそらく後者のほうが本当の声に聞こえるのではないでしょうか?ネガティブな要素を隠すのではなく顧客の本音としてきちんと見せ、それをどのように解決するのか提示しましょう。
三つ折りや四つ折り、あるいは冊子型のブローシャーが一般的ですが、かならずしも3つの形から選ぶ必要はありません。「これは何だろう?」と受け取り手に興味を持たせ、伝えたい情報とメッセージに適した形を選びましょう。
例えば、ダイレクトマーケティングの第一人者であるローゼンスパン氏※は通信会社のAT&T社の施策で、紙飛行機型のブローシャーを使ったことがありました。そのほか、業務用スーパーのために新聞紙サイズの大きなブローシャーを使ったこともあるといいます。
※アラン・ローゼンスパン氏:アメリカン・エキスプレスやIBM、JPモルガンといった世界的な有名企業をクライアントに持ち、DMAエコー賞をはじめとした
数多くの受賞実績がある、ダイレクトマーケティングの第一人者。
上記のように、会社をイメージさせるのは文面や写真だけでなく形でも興味を持たせられるのです。ブローシャーは手に取って頂かない限り役目を果たせません。まずは興味を持ってもらえる変わったフォーマットを試すのも有効でしょう。
同様に当社でも、お客様の利用促進を図る変わったフォーマットを採用しています。買い手にとっての悩みを払拭する方法は、フォーマットでも解決できます。
<当社の事例>
予約商品である「おせち」の販促にあたり、商品原寸大のデザインを採用した事例です。実物を確認できない不安を払拭するとともに、物理的な大きさでインパクトを与え、競合との差別化を図りました。
結果として前年比123%の売上を達成し、全日本DM大賞でも銅賞を受賞しました。
第30回全日本DM大賞銅賞受賞作品「原寸大おせちDMで購入前の不安を払拭!」
すべての情報を一度で見せるのではなく、情報の流れを整理してブローシャーを続けて見たくなるように設計しましょう。
買い手が商品の情報を知り買うまでに至るプロセスのことをAIDAの法則といいます。ブローシャーでもAIDAの法則を意識しながら少しずつ情報を開示すると、より関心を高められ「買いたい」という欲求を芽生えさせる効果があります。
もし専門的な商品であっても、情報を整理し、DM内の各要素の役割を明確にすることで、読み手は深く理解でき、納得感を得られます。
子供向けの本はアイデアの宝庫です。
分かりやすく、読み手を楽しませるための工夫に満ちています。どのようなブローシャーを作ればよいか悩むときには、書店や図書館の児童書コーナーに行くとヒントが得られますので行ってみましょう。
例えば、ダイレクトマーケティングの第一人者ローゼンスパン氏は、大手デパートを担当しました。大手デパートの仕事内容は、組み合わせて着回しできるトップス・ボトムス各3着のセットを訴求するというものです。ローゼンスパン氏が採用したのは、ページの上下を別々にめくれる仕掛けのブローシャーで、服の組み合わせを楽しみながら確認できる作りでした。
ローゼンスパン氏は、4歳の娘が持っていた絵本からインスピレーションを得たといいます。絵本や児童書には、仕掛けが豊富についていたり、読み手を楽しませたりする工夫が数多く使われています。児童書などのアイデアを参考にすると、相手のベネフィットを具体的に提示できる方法も見つかりやすくなるでしょう。
ブローシャーで何より大事なのは読みやすさです。見にくいブローシャーだと、読み手の興味を削ぐ可能性があります。
背景は淡い色、文字ははっきりと濃い色にしてコントラストをつけましょう。濃い背景色に淡い文字色を合わせるデザインは、短い見出し以外では避けてください。
ブローシャーは、商品への関心と理解を深めてもらうためのツールです。
せっかく商品に興味をもったのにも関わらず、購入方法や問い合わせ先を別のツールで確認しなければならないとしたら、気分が削がれてしまいます。
ブローシャーを読み進めたときに自然と目に入る場所に、フリーダイヤルの番号やメールアドレスといった、連絡先を明記しておきましょう。
特にBtoBのダイレクトメールでは、ブローシャーに連絡先を載せておくのが重要です。ブローシャーは単体で社内を回覧されることが多いからです。
人はリストを好みます。情報が整理され、どのような内容が記載されているのかすぐに把握できるからです。一文が長いと読み手にストレスを与えるため、一文が60文字以上になるのであれば、リスト形式で訴求できないか考えてみましょう。
リスト形式に変えたことによる成功事例をひとつ紹介します。オフィス用品を扱うニューイングランド・ビジネス・サービス社では『下請けで損をする10の理由』というダイレクトメールを使い、大成功を収めました。
リスト形式で読む気にさせ、自社の商品を使えば望まない状況を回避できると説得したのです。
診断コンテンツを使うと、相手に興味や関心を持たせ次のアクションに繋がりやすいと言われています。
一例ですが、ローゼンスパン氏にセキュリティシステムの会社から「ホームセキュリティチェックリスト」というダイレクトメールが届きました。ホームセキュリティチェックリストを見るまで、ローゼンスパン氏は自宅にセキュリティシステムが必要だとはまったく思っていなかったそうです。しかし「ホームセキュリティチェックリスト」を見て、セキュリティの重要性を認識できました。
受け取り手に商品・サービスの必要性を認知させ、行動を促す手法として診断コンテンツは非常に有効です。
当社のご支援事例でも、DMにチェックリスト付きのバインダーを同梱することで、サービスの新規顧客開拓に成功した例があります。
フュージョン株式会社では、BtoC、BtoB問わず、さまざまな業界のダイレクトメール企画・制作ご支援実績があります。ご興味のある方は「全日本DM大賞受賞作品6選 事例集」をご覧ください。
ブローシャーを作る際、フォーマットから写真・文章やグラフと多岐に渡ってポイントがあります。ポイントをおさえ「顧客が求めるベネフィットはなにか」をしっかり把握し、お客様視点での作成が必要です。
フュージョン株式会社では、マーケティングの効果を最大化するために、CRM戦略に基づいた最適なダイレクトメール施策をご提案しています。企画設計から、データ分析・印刷・発送・効果検証まで行うことができますので、初めてのブローシャー作成や現状のダイレクトメール施策に課題を感じている場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。