その原因は、DM施策を行うこと自体に焦点を合わせてしまうことで、そもそもの目的に対しての意識が薄まってしまっている点にあるかもしれません。
今回の記事では、戦略的にDMを企画立案することで、DMの効果を出すだけでなく、効果を出し続けるために必要な考え方をご紹介します。
「施策ありきではなく、目的から考えよう」というアプローチは、As-is(現状)からTo-be(目標)を考えることを意味しています。具体的には、現在起きている問題を分析し、仮説を立て、課題を設定します。そして、その課題を解決するためにどのような施策を取るかを検討します。
このような課題設定力が、DMを設計する際の要となります。この課題設定がしっかりしていれば、DMを行う目的・施策の方向性が明確になるだけでなく、施策後にどのポイントを振り返ればいいかもハッキリします。
気を付けるポイントとしては、問題を「DMの施策が思いつかないこと」としてはいけないということです。それは課題設定がされていないまま施策を考えていることになってしまい、問題把握とはニュアンスが異なります。
「DMをやりたい」ではなく「DMで果たしたい役割とは何か」「なぜDMである必要があるのか」を丁寧に考えていくことが、DMのPDCAを改善する第一歩となります。
DMの具体的な設計方法を、以下の5つのステップに従ってご紹介していきます。
DMの成功には、適切なターゲットの設定が不可欠です。一般的に、ターゲット/クリエイティブ/タイミング/オファーの4つの要素が重要視されていますが、その中でもターゲットは最も重要な要素であると言われています。
ターゲットは、新規顧客向けか既存顧客向けか、あるいはロイヤル顧客向けなのか、離反顧客向けなのか、CRMのステージのどの段階にいる方を対象としているのかを決定します。
ターゲットを深堀する際には、その対象となる人々がどのような特徴を持っているかを把握する必要があります。これにはデモグラフィックな情報、つまり年齢や性別、居住地域、職業などの基本的な情報が含まれます。たとえば、旅行会社が特定のツアーを案内する場合、そのターゲット層が30代~50代の女性であるとすれば、デモグラフィックな情報として、年齢や性別などが考慮されることがあります。
しかしこれだけでは不十分であり、その人々がどのようなライフスタイルを送っているのか、どのような関心を持っているのか、どのような価値観を持っているのか、といったより細かな情報、すなわちペルソナ設定が必要です。
たとえば、高級なブランド品を扱う企業があったとします。その場合、ターゲットとして年収の高い人々を想定することができますが、さらにその中でも「自分へのご褒美として買い物をすることが多い」といったライフスタイルの方と、「一流のブランド品を身につけることが自分の価値観に合致している」といった価値観を持つ方とでは、アプローチの方法が異なると考えられます。こうしたペルソナに基づいて細かく設定することで、よりDMを届ける顧客像が具体的になります。
ターゲットを絞ることでマーケットを狭めてしまわないかを危惧されるかもしれませんが、その逆についても考える必要があります。
ターゲットを広く持つことは、それだけ競合も増やすということです。そのため、狙いを絞ることで、マーケットの狭まりを危ぶむことなく、より効率的かつ効果的な施策を実施することができます。
ターゲットと目的は表裏一体です。このDMの目的=顧客にどのようなアクションを期待するのかを明確にします。
例えば、初回購入を促したいのか、継続的な購入を促したいのか、顧客のロイヤルティを高めたいのかによって、アプローチや施策は変わってきます。また、目的を明確にすることで、その施策に投資できる予算や目標を、具体的に設定することができるようになります。
ターゲットと目的を決めたら、「何を伝えるか」つまりコンセプトを設計します。そのコンセプトがどのように顧客の行動変容を起こし、目的を達成することができるかを検討していきます。
商品やサービス、オファーを伝えることはもちろん重要ですが、陥りがちなのは、メリットばかりを強調してしまうことです。商品やサービスによって、顧客がどのようなベネフィット=便益を獲得することができるかについて考えることが重要です。
商品やサービスを提供する際に、メリットとベネフィットの違いを理解することは非常に重要です。メリットは、商品やサービスを購入することで直接得られるものであり、一般的には、価格や品質、機能性などが含まれます。一方、ベネフィットは、商品やサービスを利用することで間接的に得られるものであり、より深い感情や経験につながるものです。
メリットをアピールすることは重要ですが、ベネフィットを強調することも同じくらい重要です。顧客は、商品やサービスを購入することで、自分に何が得られるかを知りたいと考えています。顧客がアクションを起こすことで実現できる体験を、具体的に想起させることが重要です。
コンセプトに基づいて、それをどう表現するかを考えていきます。
DMの基本クリエイティブは下記の4点です。
これらを必ず入れるべき要素として押さえたうえで、設計していく必要があります。
※上記の4点がDMに必須であるということではありません。アイテム数が少ないDMでも、4つの要素を押さえていく必要があります。
また、フュージョンでは下記10のポイントに従ってDMを評価しています。
これらのポイントに沿ってDMを作成し、企業のコンセプトや目的を伝えることで、顧客に訴求力のあるメッセージを伝えることができます。
DMは送るだけでなく、その後の効果検証こそが、より効果的なマーケティング施策を行うために必要なプロセスとなります。
まず、DMの効果を予測値として算出し、KPIを設定します。どのような目的のもと、どのくらいの効果を見込んでDMを実施するのかを明確にしておきます。
次に、DM実施後、実際の結果を算出し、予測KPIに対して比較します。この結果から、成功要因や気づき、改善ポイントを見出し、整理します。そして、次回の施策に繋げます。
このプロセスで重要なのは、数字の結果だけではなく、仮説に対して結果がどうだったのかを振り返ることです。
なぜよかったか、なぜダメだったのかを明らかにすることで、施策単体ではなく、連続性のあるマーケティングの実現となり、PDCAを回すことが出来るようになってきます。
DMを送ることは大切ですが、その後の効果検証こそが、より効果的なマーケティング施策を行うための重要なプロセスであると言えます。
すでにDMに取り組んでいる方に向けて、DM改善ポイントチェックシートをご用意しているので、自社のDM施策の振り返りにご活用ください。
今回のコラムでは、戦略的にDMを設計することで、DMの効果を出すだけでなく、効果を出し続けるために必要な考え方をご紹介してきました。
ついどう作るかばかりに目を向けがちですが、目的や課題から仮説を立て、それに基づいたマーケティング施策としてのDM実施が重要となります。
戦略設計がしっかりしていることで、マーケティングでのPDCAを回し続けることが可能となってきます。
レスポンスを高めるDM制作のコツについては下記コラムをお読みください。
フュージョン株式会社では、CRMに基づく顧客コミュニケーション設計支援から施策の実行まで幅広くサポートしています。課題を設定し、仮説立案をするところからご支援していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。