「例のプロモーション施策だけど、効果は出ているのか?」
と上司やクライアントなどに聞かれて、回答に困った経験はありませんか?
このような回答では、上司やクライアントの期待に応えているとは言えません。
ここで確認したいのは、「マーケティング施策の効果が出ており、最終的な目標につながっているのか、実施する価値があるのか」ということであって、施策単発の効果を知りたいわけではないからです。
この記事では、日々マーケティング施策に取り組んでいる企業担当者の方向けに、効果検証の目的や、効果検証の精度を上げるために必要なマーケティング施策設計のコツや効果検証の具体的な方法を解説します。
マーケティングの効果検証の目的は、簡単に言えば「また実施するかどうかを決めること」です。効果検証の目的は、結果に結びついた要因を明らかにし、「再現性」を持たせ、マーケティングのPDCAサイクルに活かすことです。
施策の効果を把握し、成果が出ているのであれば再び施策を行い、出ていないのであれば別の施策を考える。こういった判断をできるようにすることが、効果検証の目的です。
言い換えれば、判断ができないのであれば効果検証をやっているとは言えない、ということになります。
冒頭の上司からの質問への回答にあった、レスポンス率、ROI、CPAはいずれも施策結果を把握する基本的な指標です。これらの数字は、どんな施策でも基本的に抑えるべき数字ですが、これだけでは施策で期待する効果が出ているのかは判断がつきません。
なぜなら、これらの指標を見ることは単なる「効果測定」であり、「効果検証」ではないからです。
「効果測定」とは、効果を数字で測り事実を正しく把握することを指します。それに対して「効果検証」とは、効果を調べて証拠立てし、仮説を実証することを指します。
言い換えると、効果検証とは、事実を並べるだけでなく、その事実が実施前に予測(期待)した結果や実施しなかった場合と比較してどうだったかを判定することなのです。
もちろん、効果測定が重要でないという訳ではありません。効果検証を行おうとする時は、このゴールを正しく捉えるようにしましょう。
では、効果検証の精度を高めるためにはどんなことを意識すればよいのでしょうか?
施策の設計段階と終了後に分けて、10個の項目について解説します。
始めに、何のために施策をやるのかを整理します。
施策の成果を目的と取り違えないように注意しましょう。例えば、「レスポンス〇%」は成果を測るための1つの指標ですが、レスポンスを取ること自体は施策の目的ではありません。「2回目購入促進」など、この施策でどんなアクションを求めるか、が目的です。
成果を測るためには、定量的な指標が必要です。
どの数字を成果として見るかは施策の設計段階で決めておきます。定量的な指標に加えて定性的な効果を目標に加えても構いません。
仮説がないということは目標がないということです。
目標がなければ、結果が良かったのか良くなかったのか判断が付きませんので、必ず実施前に仮説を立てましょう。
先に述べた通り、効果検証とは「比較する」ことです。
施策を実施した場合としなかった場合で結果に差が出るかを正しく比較するためには、施策対象者とは別に、比較対象となるグループを予め作っておく必要があります。比較対象のグループの作り方については、下記のコラムでご紹介しています。
4で作った施策対象者のグループを「テストグループ」、施策を実施していない比較対象とするグループを「コントロールグループ」と呼びます。この2つのグループの抽出条件を揃えることが、効果検証には必要です。詳しくは下記のコラムをご覧ください。
施策の設計段階で設定した指標について、必ず数字で計測します。
極端に言えば、1の数字が高くても施策による売上に対して原価の方が高ければ赤字です。
施策の成果だけを見るのではなく、費用対効果の観点でも成果が出たと言えるかの検証も重要です。
マーケティング戦略上、同時期に複数の施策が走っているのが一般的です。
その場合、1つの施策による成果であると断言するのは難しくなります。そんな中でも、コントロールグループと比較することで、成果をより正確に把握することが可能になります。
何を成果指標にするかとセットで、適切なタイミングで期間を区切り、検証を行いましょう。
施策で提供しているオファーの期限で区切るのが一般的ですが、会計上の原価計上のリミットや商品のライフスタイルに合わせる等、自社の業種に合わせて実施タイミングを決定します。
同じ施策をまた来年実施する等、期間が空いても同じ結果が出せるよう、実施概要と結果がわかるよう整理して終了します。
これらの10項目について、1枚のチェックシートにまとめています。
ではeメール施策を例に、効果検証の設計を考えてみましょう。
目的:A商品のF2(2回目購入)引き上げ 仮説:eメールで2回目購入特典を訴求すれば引き上がるのでは? 成果指標:2回目購入特典に対するレスポンス率 設計:A商品購入者1万人を①②に分けて①にはeメールで2回目購入特典の案内を送信 効果検証:2回目購入率を①と②で比較 効果検証結果の使い方:①>②であれば、仮説に対して成果ありと判断できるので、施策継続を決定 |
もし効果検証を意識せずに、仮説だけでA商品購入者1万人全員にメール送付していたら、メールを送付していない人との比較ができないので、効果検証ができない状況になっていたかもしれません。
効果検証の精度は施策設計段階で8割決まると言っても過言ではありません。
効果検証は施策が終わってから行うもの、と思われがちですが、この例のように、何の項目を、何と比べるか、について施策設計段階から組み込んでおく必要があります。
効果検証は、「また同じ施策を行うかどうか」を判断するためのものであり、判断材料にならなければ効果検証の意味がありません。施策の効果を測定するためには、施策設計段階から効果検証実施を見据え、結果を比較できるように設計することが大切です。
まずは、自社のマーケティング効果検証が精度高く行えているか、セルフチェックから始めてみましょう。
フュージョン株式会社では、マーケティング施策前の効果検証設計、実施後の効果検証だけでなく、施策自体の設計・クリエイティブまでワンストップでご支援しています。
ぜひ、お気軽にご相談ください。