ここでは、DMの効果を正しく計測するために必要な準備と、実施後に確認すべき指標について詳しく解説します。
DMの効果検証を正しく行うためには、施策を実施する前に以下の数値を把握しておくことが大切です。詳しくみていきましょう。
販促費とは、DM施策にかかるコストのことです。効果検証を正確に行うためには、DM施策の実施で発生したコストを漏れなく把握することが大切です。
販促費の算出方法は以下の通りです。
販促費=制作費+印刷費+発送準備作業費+発送費+インセンティブ費用
LTV(顧客生涯価値)とは、Life Time Valueの略称で、顧客ひとりが生涯のうちに生み出す利益や売上のことです。LTVを算出すると一件あたりの受注コストを把握できるため、施策の立案などに役立ちます。また、一般的には一生(数十年)という単位ではなく、1年単位などで算出されることが多い点も覚えておきましょう。
LTVの算出方法は以下の通りです。
LTV=対象期間の総粗利益÷対象期間の総新規顧客数
BEP(損益分岐点)とは、DM施策にかかったコストを回収するために必要な受注件数を指します。BEPは、販促費と販売する商品の粗利額をもとに算出します。
計算式は以下の通りです。
BEP=販促費÷粗利単価
ここからは、施策実施後の効果測定を行う際に用いられる指標を紹介します。DMを実施する際には、以下の指標をもとにKPIを設定し、目標を達成できたかを数値で検証するようにしましょう。
レスポンス率とは、DMにより顧客が行動を起こした割合を表すもので、反応率とも呼ばれます。レスポンス率を算出するためには、DM施策により顧客にどのような行動を起こさせたいのかを定義することが大切です。レスポンスは例えば、資料請求や商品の購入、アンケートの回答、クーポン券を持参した来店などが挙げられます。いずれの場合でも、DMによる効果だと把握できるような工夫を行い、正確に効果検証できるように準備しましょう。
レスポンス率の算出方法は以下の通りです。
レスポンス率=レスポンス件数÷DM発送数×100
コンバージョン率はCVRとも呼ばれ、施策の最終目標となるコンバージョンを獲得した割合を指します。DM施策で設定されるコンバージョン指標は、一般的に商品の購入や成約など利益を生み出すポイントに設定される場合がほとんどです。
コンバージョン率は利益を生み出す行動のみをカウントするため、レスポンス率よりも重視される指標です。算出方法は以下の通りです。
コンバージョン率=コンバージョン件数÷DM発送数×100
CPR(レスポンス獲得単価)は、獲得したレスポンス1件あたりにかかったコストのことです。DM施策の費用対効果を検証する際に最も多く用いられる指標で、CPRが低いほど効果的な施策という評価ができます。CPRの算出方法は以下の通りです。
CPR=販促費÷レスポンス件数
CPO(顧客獲得単価)は、獲得したコンバージョン1件あたりにかかったコストです。CPOは新規顧客を獲得した際に用いられる指標のため、初回の購入や成約件数のみをカウントし、リピート購入はカウントしないのが一般的です。
CPOもCPRと同様に、値が低いほど効果的な施策という評価ができます。
算出方法は以下の通りです。
CPO=販促費÷受注件数
Webサイトへのアクセス数は、顧客の興味関心度を測る指標として活用できます。アクセス解析ツールを利用して、DMが顧客の手元に届くタイミングでアクセス数が伸びていないかを確認しましょう。なお、DMの成果としてWebサイトのアクセス数を測るためには、パラメーターをつけたURLを作成しQRコードで掲載する方法など、あらかじめ準備が必要です。
ダイレクトメールの基本的な構成要素や作成のコツについては、下記の記事で解説しているのでぜひご覧ください。
ここでは、既存DMを改善する際に有効な「リバースエンジニアリング」について詳しく解説します。
リバースエンジニアリングは、もともと工学やIT業界で使われる用語で、機械製品の分解やソフトウェアの解析を行い、その構造や仕様を明らかにすることを指します。
この手法をDMに取り入れ、改善点を分析する方法がDMのリバースエンジニアリングです。
自社や競合のDMをリバースエンジニアリングの考え方に基づいて分解することで、自社施策の課題や改善点を洗い出せます。
DMのリバースエンジニアリングでは、以下の9+1の視点からDMを読み解いていきます。
リバースエンジニアリングの9+1の視点に基づいて分析すると、以下のような良い点・改善点が見えてきます。
ポジショニング...競合といかに差別化が図られているか?
Good:免許合格率の高さや事故率の低さ等、指導力の高さを訴求できている。
目的...読み手に起こしてほしい具体的行動は何か?
Good:入校予約をしてほしい。(入校にかかる詳細の記載がないことから)問い合わせをしてほしい。
ターゲット...どのようなリストで誰に対して送っているのか?
Good:自動車学校の近隣地域の高校を卒業する学生へ向けて送っている。
オファー...行動に対する特典やおまけは何か?
Good:早期予約キャンペーンを実施している。はがき持参でプレゼントがもらえる。
More:それぞれの特典の内容、「いつまでに行動が必要か」期限がわからない。
ベネフィット...その商品(サービス)により、便利さ・満足感は得られるか?
Good:時間の自由度が高く便利。同じ教員から学べて、不安が少ない。
クリエイティブ...体裁・デザイン面でどのような工夫が施されているか?
More:赤は強調の色だが、全体に使用されており、どこに注目すべきかわからない。
虹色の鳥のイラストと自動車学校との関係はあるのか。
文章量が多く、内容理解に時間がかかる。
フック...どのコピーやデザインがフックになっているか?
Good:「自動車学校のご案内」やオファーなどフックとなり得るポイントがある。
More:まとまったデザインになっていない。自動車学校の写真が小さく、目を惹かない。ターゲットに対して呼びかける要素もない。
アクション...スムーズに行動に移せる工夫はあるか?
Good:右下部に連絡先の記載があり、問い合わせへの流れがスムーズ。
早期予約キャンペーンや「2・3月は混む」といった情報で、早く行動させる工夫がされている。
改善案
・「この春卒業の皆様へ」など、ターゲットに対しフックとなる呼びかけをする。
・オファー(特典内容、期限)を明確に記載する。
・画像を1点にしぼり大きく配置し、自動車学校のイメージを強める。
・特徴を文章内に盛り込むのではなく、アイコン化するなど読ませる要素を減らす。
・デザインが少々子供っぽいので、色味やフォントを落ち着かせる。
このように、9+1の視点に沿って良い点・悪い点を明確にしていくと、より具体的な課題が見えてきます。この例では、特にクリエイティブ面での課題が多く、修正が必要なことがわかります。
既存DMの効果が思うように上がらない場合は、このようにリバースエンジニアリングを実施することが大切です。
DMは送付した後に効果検証をきちんと行い、課題を改善していくことで効果を最大化することが大切です。そのためには、DM施策にかかったコストやLTV、BEPをあらかじめ把握したうえで、レスポンス率やコンバージョン率の目標(KPI)を定める必要があります。
もしKPIを達成できない場合は、リバースエンジニアリングの考え方を参考に既存DMの改善点を見つけ、PDCAを回しましょう。
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