ダイレクトメールはBtoCビジネスで主に活用されているイメージが強いですが、BtoBビジネスの認知拡大やリードの新規獲得施策などにも有効です。一方で、法人向けのDMは個人向けのDMとは注意すべき点が異なり、成果を上げるためには法人向けDMの特徴を理解して施策を実施することが重要です。
本コラムでは、CRM領域を得意とするフュージョン株式会社が実施した、費用対効果3000%を達成した法人向けDM事例とともに例に挙げて、成功のポイントや作成するうえでの注意点を詳しく解説していきます。
BtoB商材では、サービス内容が複雑なことから、テレマーケティングやWeb広告だけでは顧客に商材の魅力を十分に伝えきれない場合もあるでしょう。一方でダイレクトメールは、紙媒体を通してサービスの詳細を丁寧に伝えることができるため、BtoB商材に向いているマーケティング手法です。そして、ダイレクトメールの成果を上げるためには、法人向けに送る際に意識しておくべき基本があります。
効果的なタイミングやクリエイティブを判断するためには、ターゲットが明確でなければなりません。特に法人向けDMの場合は、総務などの受け取り手から担当者、決裁者に至るまで、複数人の目に触れる可能性があります。
そのため、ターゲットを設定する際には、業種の設定だけではなく、部署や役職などできるだけ具体的な人物像をイメージするとよいでしょう。
法人向けDMはサービスの契約に至るまでの検討プロセスが長期である場合が多いです。そのため、ターゲット企業の予算が動くタイミングでダイレクトメールを届けることが非常に重要です。
具体的には、来期の予算計画を検討する時期や、年度末など今期予算の余剰分を使い切りたい時期などが、訴求するタイミングとして適しているでしょう。
法人向けDMでは、情緒に訴えるよりも、信頼感や具体性を丁寧に記載することに重点を置きましょう。特に、コスト削減や売上拡大に関する部分や、調査結果・アンケート結果などの数値的根拠を用いることで、説得力のある訴求ができます。
企業内での意思決定では、最終的に企業にとってどのくらいの利益が得られるか、コスト削減ができるかなどの数値を提示しなければ稟議が通らない場合がほとんどだからです。
もし事例を活用できる場合でも、数字を用いてできるだけ具体的に実施内容を紹介すると良いでしょう。
法人向けのDMはBtoC向けのDMと異なる特徴があります。法人向けのDMを作成する際には、その違いをきちんと把握することが大切です。詳しく見ていきましょう。
ダイレクトメールの主流となっている個人向けのDMでは、商品を購入する本人に直接ダイレクトメールを届けられます。そのため、ダイレクトメールの内容は受け取り手一人に伝わるよう意識することが求められるでしょう。
一方で、法人向けDMは最初にダイレクトメールを手に取る人物が担当者ではない場合や、決裁者ではない場合がほとんどです。そのため、あらかじめ複数人が読むことを想定し、受け取り手から担当者や決裁者にダイレクトメールが伝達されるような内容にする必要があります。
ダイレクトメールでは、顧客が得られるメリットをしっかりと訴求する必要がありますが、この内容も法人向けDMと個人向けDMでは異なります。
個人向けDMでは、受け取った顧客一人が得られるメリットを訴求します。しかし法人向けDMでは、担当者だけではなく、担当者が在籍している企業にとってのメリットも訴求する必要があるでしょう。
例えば訴求ポイントが業務の効率化の場合、個人と企業それぞれの視点で、以下のように訴求すべきメリットが異なります。
個人視点:残業時間が削減でき、ワークライフバランスを実現
企業視点:業務効率化により人員コストの削減が可能に
このように、法人向けDMでは担当者個人だけではなく、企業視点・経営視点でのメリットも同時に訴求することで、決裁者の意思決定を促す工夫が大切です。
今回は、新規顧客開拓を目的にダイレクトメールを実施した事例として、ピツニーボウズジャパン株式会社様の施策を紹介します。
郵便発送業務を効率化する「郵便料金計器」と「封入封かん機」を商材として扱っているピツニーボウズジャパン株式会社様は、地方自治体をターゲットにした新規獲得施策でダイレクトメールを活用しました。その結果、ダイレクトメールとその後のフォローアップコールを組み合わせることで、レスポンス率は8%、広告費用対効果(ROAS)は3000%を達成しました。
施策の概要は以下の通りです。
【クライアント企業】 【主な事業】 【実施時期】 【施策内容】 【成果】 |
このDMで特に重視したのは、ターゲットとタイミングです。
さらに、コーポレートサイトにトラッキングシステムを導入し、アクセスのあった自治体にはフォローアップコールでタイムリーにアプローチを実施したことも、成果を高めた要因のひとつと想定されます。
ここからは、ダイレクトメールで工夫した要素について、詳しく見ていきましょう。
今回のDMのターゲットは、地方自治体でした。
平成28年4月に施行された改正地方公務員法により、職員の任用・雇用形態や人員構成の適正化が義務付けられました。つまり、この法改正により地方自治体でも業務の効率化や働き方改革への取り組みに注目が高まっていることが予想されます。
本施策はこのニーズに注目し、業務効率化を実現する解決策として「郵便発送業務の効率化」を担当部署へ訴求することにしました。
今回のターゲットである地方自治体では、来年度の予算方針の提案が10月に行われるため、各部署での予算計画検討は8月頃から開始されると予想されます。そのため、予算の検討が開始される8月初旬には担当者の手元にダイレクトメールが届くよう、7月末に投函しました。
このように、法人で新しく何かを購入・導入する際には、稟議を通し予算を確保する必要があります。担当者が乗り気でも、予算が取れないとなかなか導入には至りません。このため、法人向けDMでは予算が検討され始める時期に合わせてアプローチするのが有効です。
上記のターゲットとタイミングを踏まえて、クリエイティブの検討を行いました。
特に工夫した点をアイテムごとに見ていきましょう。
・導入事例の紹介
まず重要だったのが、導入実績・事例を紹介するリーフレットの封入です。
今回のように認知度が低い可能性のあるブランドや製品を訴求する場合には、具体的な事例を紹介することでターゲットからの信頼を獲得できます。
事例を導入する際には、ターゲットとなるべく近しい業種や業態の事例を紹介するとより効果的です。今回は市役所での導入事例を掲載しました。
・封筒、コピー
法人には毎日多くの郵便物が届きます。その中で埋もれてしまわないよう、紺色の正方形封筒を採用し、ほかの郵便物との差別化を図りました。
さらに、封筒の表面には、「総務部文書課 責任者様へ」「働き方改革を実現する」「自治体の働き方改革 実践ストーリー在中」というコピーを記載。確実に担当者の手元に届くよう部署・役職のレベルで対象を明記し、その方に刺さるキーワードを散りばめました。
このDM作品は、広告戦略としてのダイレクトメール作品を評価する日本最大の賞である「全日本DM大賞」にて日本郵便特別賞(コピーライティング部門)を受賞しています。作品の詳細は受賞実績ページからもご確認いただけます。
当社のBtoB企業様向けDM事例集は下記からダウンロード頂けます。ご興味のある方はぜひご覧ください。
【資料ダウンロード】「全日本DM大賞受賞作品6選 事例集」資料ダウンロードはこちらから
法人向けDMでは、ターゲット企業に存在する複数の関係者に対して不足なくサービスを訴求することが求められます。成果の上がるDMを作成するためには、ターゲット企業のどの部署に届けたいかを明確にしたうえで、企業が得られるメリットを丁寧に伝えることが大切です。
フュージョン株式会社が提供するBtoB向けダイレクトメールサービスでは、CRM戦略に基づいた最適なダイレクトメール施策を総合的に支援します。
BtoB商材のリード獲得、認知拡大にダイレクトメールを検討している場合は、お気軽にお問い合わせください。
BtoB向けダイレクトメールサービス紹介資料ダウンロードはこちら