「売上○億円」「シェア○%獲得」といった会社や部署の大きな目標を示されたとき、それをどのように達成するか具体的にイメージできますか?
ただがむしゃらに営業や販促を行うのは効率が悪く、モチベーションも維持できません。短期的に目標を達成できたとしても顧客の離反や利益率低下を招き、長期的な売上や利益は落ち込んでしまう可能性さえあります。
今回は、目標達成を具体的にイメージし効率計画的に行動するためのKPIの設定についてご説明します。
(小売業界様事例)店舗アプリデータ分析に基づくKPIマネジメントの仕組み化
1. KPI、KGIとは
まずは、語句の説明です。
●KPIとは
KPIとはKey Performance Indicatorの略で、日本語に訳せば「重要業績評価指標」です。文字通り「重要な」「業績評価のための」「指標」のことで、言い換えれば、「目標達成のための鍵となり」「達成のために行った行動を評価するための」「判断基準」ということになります。
これを適切に設定することで、目標をかみ砕いて何をすればいいのかイメージできるようになり、施策を客観的な基準で評価・改善できるようになります。
●KGIとは
KGIとはKey Goal Indicatorの略で、「重要目標達成指標」と訳されます。企業全体、もしくは部門の戦略的目標を達成したかを定量的にはかる指標のことで、売上高や売上総利益、市場シェアなどが挙げられます。
KGIはゴールを定量的に表した指標そのものであるのに対して、KPIはKGIを達成するまでの過程の達成度をはかるものです。
つまり、KPIは「過程」を見る指標であり、KGIは「結果」を見る指標となりますので、1つのKGIに対して複数のKPIが設定されることもあり、KPIをクリアしていくとKGIの達成につながります。
2. KPI設定の3ステップ
KPIを設定するには、下記3つのステップで組み立てていくのがスムーズです。
ステップ1:ゴールの確認
ステップ2:ゴールに至る要素の分解
ステップ3:各要素の成果を測る指標の設定
では、ステップごとにご紹介します。
ステップ1:ゴールの確認
まず、達成すべきゴールを確認します。
KPIは目標達成のために行った行動を評価するための指標ですから、目指すゴールがあいまいなままでは適切に設定できません。
このゴールとはKGIのことですが、目標を達成したかを定量的にはかれるものになっているか、確認しましょう。
売上目標などであれば具体的な数値が提示されていることと思いますが、「顧客満足度向上」、「ブランド認知の拡大」などがゴールであった場合には、どうなったら目標達成と言えるのかがはっきりしないままなんとなく走り出してしまうことがあります。
また、会社サイトのリニューアル、業務システムの導入というような施策の実施自体が目標となっていた場合には、何のためにそれを行うのか、どうなったら成果があったといえるのかがあいまいだと評価が難しくなり、「結局、意味はあったの?」と聞かれたときに自信を持って答えられません。
KPIを検討する前に、KGIを具体的に設定・把握しましょう。
たとえば顧客満足度であれば、アンケートによる満足度を○%にする、あるいはリピートされることを満足と捉えリピート率を○%にするといった形で目標を設定することができます。
ステップ2:ゴールに至る要素の分解
KGIを明確にしたら、それを達成するための要素に分解します。
KGIが売上ならば、「売上=客数×客単価」で表現できるので、お客様の数を増やすか、1人当たりのご利用額を増やせば、売上も向上します。さらに、客数は「新規顧客+既存顧客-離反顧客」という式で表せるので、新規顧客・既存顧客を増やすか、離反顧客を減らせば、客数を増やせます。
いくら具体的な数値で示されても「売上○億円」という大目標だけでは、どのようにそれを達成するかイメージしづらいものです。要素に分解するとやるべきことが明確になりますし、やったことの効果を測定・検証でき、改善点を見出せるようになります。
ただし、このとき、やみくもに要素を出すと、KGIの達成につながらないKPIになってしまうことがあります。現状をしっかり把握し、データに基づいて、KGIに影響を与えている要素を挙げましょう。
ステップ3:各要素の成果を測る指標の設定
ステップ2で確認した要素のうち、取り組み可能な項目、注力すべき項目をピックアップします。そして各要素について、いつまでにどんな状態にするのかを設定します。これがKPIとなります。
具体例として、KGIが売上の場合のKPIの例を見ていきましょう。
先述のように、
売上=(新規顧客+既存顧客-離反顧客)×(来店回数×1回あたりの購入点数×商品単価)
というように分解できます。
このことからKPIとして設定できる指標として
-新規入会数を来店者の○%に引き上げる
-1回あたりの購入点数を○点に引き上げる
などが挙げられます。
たとえばECサイトであれば、さらに
-検索エンジンの自然検索結果からの流入を20%増やす。そのために、
・○○というキーワードで3位以内に入る
・コンテンツを年度内に100件増やす
-購入1回当たりの購入点数を平均0.5点増やす。そのために、
・レコメンドエンジンを導入し回遊率を○%アップさせる
・あわせ買いのキャンペーンを○回実施する
という具合に、重点施策とその評価基準までKPIを落とし込むこともできます。
目標を分解しようと思えば、かなり細かく多くの要素に分けられます。
どのくらいの細かさでいくつのKPIを設定すればいいのか、常にこうすべきという正解はありません。
最初は、優先順位の高いKPIや自社の課題解決につながるKPIに絞り、1~3つ程度を設定するのがおすすめです。そうすることで、人や予算を効率的に配分することができますし、施策のPDCAサイクルを回す際にも常に意識できるので実務に反映できる「生きた」KPIとなります。
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3. よいKPI設定のコツ
KPIは数字のパズルではありません。
たとえば、売上達成のためのKPIに「Webサイトの集客数」を設定し、これを「○%以上増やす」と宣言することは可能です。しかし、Webサイトを通した集客を企画・運用できるリソースやスキルがなければ絵に描いた餅となってしまいます。
KPIを設定するということは、たんに目標を分解するということではなく、実行可能性を検討し、自分たちが注力する要素を確認するということです。そして、設定したKPIをクリアすること=KGIの達成に寄与することにならなければなりません。
KPIが適切であるかチェックするにはSMARTという枠組みが便利です。
成果を生むための「SMARTな」目標設定とは
目標達成につながるKPI設定のために
フュージョン株式会社では、顧客と企業の距離を縮めるCRM戦略の立案から現状把握に基づいたKPIの設定、マーケティング施策の企画・運用まで、ワンストップでご支援致します。
CRMの定義やゴールと役割、マーケティングとの違いなど、CRM領域での課題解決の流れについて解説したコラムは下記をご覧ください。
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