適切な目標を立てることはよい結果を生むための近道です。
それでは、適切な目標とはどんなものでしょう。
ノルマとして関係者を圧迫するのではなくモチベーションの源泉となる、どうやって達成しようかと具体的にイメージできる、達成することによって自身やビジネスの成長につながる、そんな目標を立てたいと多くの人が望んでいるのではないかと思います。
こういった適切な目標を設定する方法の一つに「S.M.A.R.T.(スマート)」という枠組みがあります。
★「S.M.A.R.T.」な目標とは
「S.M.A.R.T.」は以下の5つの英単語の頭文字を取ったものです。
この5つの要素を備えた目標があれば、成果を得るために何をすればよいのかが明確になり、取り組みにおいて高いモチベーションと精度を保つことができます。
・Specific: 具体的であること
・Measurable: 測定可能であること
・Achievable: 達成可能であること
・Relevant: 関連性があること
・Time-bound: 期限が明確であること
※「S.M.A.R.T.」のそれぞれに異なる解釈もありますが、今回は上記を前提としてご紹介します。
★「S.M.A.R.T.」な目標の立て方
それでは、ひとつひとつの項目をより詳しく見ていきましょう。
分かりやすいように「顧客満足度を向上させる」という目標を「S.M.A.R.T.」な目標に書き換えてみます。
● Specific = 具体的であること
まず目標において大事なことは、具体的であることです。
「顧客満足度を向上させる」という目標は、具体的ではありません。
何をもって顧客満足とするのか、どのくらい向上させるのかが明確になっていないからです。
では「顧客満足度の向上」を具体的に表現するとどうなるでしょう。
たとえば、商品に満足した顧客はまたリピート購入してくれると考えれば「顧客満足度を向上させ、その結果として購入リピート率を○%に引き上げる」というように目標を書き換えられます。
● Measurable=測定可能であること
次に必要なのは、測定可能であることです。
測定できなければ、そもそも目標が達成できたのかどうか分かりませんし、目標達成の過程で、今がどのくらいの達成度なのかを測ることもできません。測定可能でない目標は、目標として機能しません。
また、前項では顧客満足度を購入リピート率で表現しましたが、リピート率を計算するためには、顧客ごとの購入履歴が分かっていることが前提となります。つまり測定のための手段や仕組みが必要です。
測定可能な目標を設定するためには、目標を具体化することとセットで考え、どのように測定するのか、その測定方法は現実的で実態に即しているのかを必ず検討しましょう。
「顧客満足度の向上」を測定可能な目標に書き換えると、「購入リピート率を現状の30%から50%へ引き上げる」といった表現が考えられます。
達成すべき数値だけでなく現状の数値も盛り込むと、現状とその後の経過を同じ指標で測定することが明確になりますし、目標までの差が分かりやすくなるのでおすすめです。
● Achievable=達成可能であること
「こうしたい」という願望や希望を反映しただけでは目標にはなりません。目標達成のためにどうしたらいいか具体的にイメージできないからです。
イメージできないものは実行に移せません。
また、現実からあまりにかけ離れていれば「どうせ達成できない」とモチベーションも下がり、目標が形骸化してしまします。
一方で、現状の取り組みを続ければ半自動的に達成されるような目標ではビジネスの成長を見込めません。
目標として示されたときに「どうやればそれを達成できるだろう」という思考に自然とつながるような目標が適切といえるでしょう。
前項までで立てた目標が達成可能かどうか、過去の事例や投入できるリソースを踏まえて判断する必要があります。
● Relevant=関連性があること
目標における関連性には二つの意味があります。
一つは、より大きな目標との関連性です。
たとえば、マーケティング部門の目標は、その達成によって会社全体の目標達成に寄与できるよう設定しなければなりません。会社全体の目標も、長期計画や企業理念といった、より上位の目的と足並みを合わせる必要があります。
もう一つの関連性は、関わる人・リソースとの関連性です。
それまでの取り組みと全く関連しない目標を掲げたとしても、強みも生かせませんし、モチベーションを維持することも難しくなります。
たとえ新規事業の立ち上げであっても、なぜその事業を行うのかについて、より大きな目標、関わる人・リソースとの関連性を意識して記述することが大切です。
● Time-bound=期限が明確であること
目標には「いつまでに達成する」という期限の設定が必要です。
期限がないと、逆算していつ何をしなければならないという計画が立てられません。また、現状が計画よりも進んでいるのか遅れているのかも判断できません。判断が遅れると、必要な施策を実行する時期を逃してしまう可能性があります。
前項までで設定していた「購入リピート率を50%へ引き上げる」という目標であれば、「2017年度末までに」といった期限を設けましょう。
期間が長いと、いま何をすべきか判断しづらくなることがあるので、いくつかの期間に区切ってマイルストーンとなる目標を設定しておくのもおすすめです。
以上を踏まえて、以下のような目標ができあがりました。
・「S.M.A.R.T.」ではない目標
顧客満足度を向上させる
↓
・「S.M.A.R.T.」な目標
2017年末までに、購入リピート率を現状の30%から50%に引き上げる
目標における具体性の粒度は状況によって異なります。それにともない、測定するための基準も変わってくるでしょう。大事なのは、目標として示されたときに、関係者が共通の実行イメージを持てること、共通の判断基準によって取り組みを評価できることです。
よい目標は、よい地図のようなものです。
目的地と現在地の位置関係が分かり、そこにたどり着くためのルートを現実的に検討することができます。地図がなくとも目的地にたどり着くことは不可能ではありませんが、たいていの場合、大きなリスクとコストをともないます。この記事が目標設定の見直しに役立てれば幸いです。
以下のコラムでは、目標設定とセットで考える必要があるKPIについても解説しています。あわせてご覧ください。
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